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NEJM誌から
HbA1cは心血管疾患リスク予測にも有用
糖尿病リスク予測には空腹時血糖値とHbA1cのいずれも有用

 糖尿病または心血管疾患歴のない成人について、将来の糖尿病や冠疾患、虚血性脳卒中罹患のリスクを予測するには、空腹時血糖値とHbA1c値のどちらが適しているのだろうか。両指標の能力を比較した米Johns Hopkins 大学のElizabeth Selvin氏らは、糖尿病の予測においては両指標とも有用だが、糖尿病以外の予測については、HbA1cが空腹時血糖に優ることを明らかにした。詳細は、NEJM誌2010年3月4日号に報告された。

 米国では長らく、糖尿病診断には空腹時血糖値が用いられてきたが、先ごろ、HbA1c値の利用も推奨されるようになった。HbA1cは再現性が高く、血糖管理の監視に適しているが、それ以外にも空腹時血糖値に優る利点を有すると考えられている。それが、心血管疾患リスクの予測能力だ。

 そこで著者らは、糖尿病と心血管疾患のリスク予測における、HbA1c値と空腹時血糖値の有用性を検討した。

 対象は、ARIC(Atherosclerosis Risk in Communities)スタディに登録され、1990~1992年の2回目の受診時に採血を受けた白人または黒人。糖尿病歴または心血管疾患歴のない1万1092人(黒人は22.4%)に由来する全血標本のHbA1cを測定した。加えて、脂質量、BMI、ウェストヒップ比、血圧、学歴、飲酒量、喫煙歴なども調べた。

 2006年1月1日まで最長15年間追跡を継続し、その間の新規発症糖尿病、冠疾患(心筋梗塞、冠疾患死亡、心臓手術、心電図が示す無症候性心筋梗塞)、虚血性脳卒中、全死因死亡と、ベースラインのHbA1c値または空腹時血糖値の関係を調べた。

 追跡期間中に新たに糖尿病と診断されたのは2251人。冠疾患は1198人、虚血性脳卒中は358人で、死亡は1447人に発生した。

 ベースラインのHbA1c値に基づいて、対象者を5群(5.0%未満、5.0%以上5.5%未満、5.5%以上6.0%未満、6.0%以上6.5%未満、6.5%以上)に分けた。

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