日経メディカルのロゴ画像

NEJM誌から
2型糖尿病の血圧厳格管理に心血管イベント減少効果なし
ACCORD BP試験の結果

 2型糖尿病患者の血圧を厳格に管理すれば、心血管リスクは低下するのだろうか。この疑問の答えを得るべく、米退役軍人医療センターWilliam C. Cushman氏らがACCORD BP試験の結果を解析したところ、目標とした収縮期血圧が120mmHg未満のグループと140mmHg未満のグループの間で、心血管イベント発生率に差はないことが明らかになった。論文は、NEJM誌電子版に2010年3月14日に掲載された。

 糖尿病患者の心血管リスクは、その収縮期血圧値にかかわらず、非糖尿病患者に比べて高いことが知られている。米国の高血圧治療ガイドラインJNC7は、糖尿病で収縮期血圧が130mmHg以上の患者には降圧治療の実施を推奨している。しかし、現在のところ、2型糖尿病患者の収縮期血圧を135~140mmHgより下げる戦略を支持する、無作為化試験によって得られたエビデンスはない。

 ACCORD BP試験は、心血管リスクが高い2型糖尿病患者を登録し、正常血圧(120mmHg未満など)を目標とする治療を行うことで、主要な心血管イベントリスクが下がるかどうかを調べたものだ。

 ACCORD BP試験の本体であるACCORD試験は、米国とカナダの77施設でハイリスクの2型糖尿患者1万251人を登録し、血糖の厳格管理または標準管理のいずれかに割り付けて転帰を比較した試験だ(関連記事参照)。ACCORDは、2件の2×2ファクトリアルデザインが入れ子になっている設計で、登録患者のうち5518人が、シンバスタチン+フェノフィブラートまたはシンバスタチン+偽薬のいずれかに割り付けられ(ACCORD lipid試験、関連記事参照)、残りの4733人は血圧の厳格管理または標準管理のいずれかに割り付けられた(ACCORD BP試験)。

 ACCORD BP試験は非盲検で行われた。2型糖尿病患者4733人を、無作為に、血圧厳格管理(目標120mmHg未満、2362人、平均年齢62.2歳)または標準管理(目標140mmHg未満、2371人、平均年齢62.2歳)に割り付けた。目標値までの降圧には、日常診療で用いられている薬剤が通常通り適用された。

 主要エンドポイントは複合イベント(初回の非致死的心筋梗塞、初回の非致死的脳卒中、心血管死亡)に設定。

 追跡期間の平均は、主要エンドポイントについては4.7年、死亡については5.0年だった。

 ベースラインの血圧の平均値は139.2mmHg/76.0mmHgだった。

この記事を読んでいる人におすすめ