日経メディカルのロゴ画像

Ann Intern Med誌から
NSAIDのサルサレートで2型糖尿病患者のHbA1cが低下
2型糖尿病治療の新たな選択肢として有望か

 生活改善を行いながら経口糖尿病治療薬の投与を受けている2型糖尿病患者に、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)の1つであるサルサレート(国内未発売)を追加することで、HbA1c値が有意に低下することが、米Joslin糖尿病センターのAllison B. Goldfine氏らが行った無作為化試験で明らかになった。論文は、Annals of Internal Medicine誌2010年3月16日号に掲載された。

 2型糖尿病は炎症性疾患であると見なされているが、メトホルミンやインスリンといった治療薬は、血糖値は下げるものの炎症マーカーの値を下げることはできない。

 以前から、抗炎症薬であるアスピリン(アセチルサリチル酸)の血糖降下作用を報告した論文はあったが、血糖降下に必要な用量を投与すると出血リスクが上昇するため、臨床適用は不可能と考えられていた。

 そこで著者らは、関節炎などの治療に用いられており、安全性と忍容性が確認されているサルサレートに注目した。サルサレートはサリチル酸の非アセチル化プロドラッグで、著者らが行った予備的な研究では、血糖値と共にトリグリセリド、遊離脂肪酸、CRPの濃度を下げ、血中のインスリン濃度とアディポネクチン濃度を上昇させる作用があることが明らかになっていた。

 著者らが今回実施したのは、2型糖尿病患者を対象に、異なる用量のサルサレートの有効性と安全性を調べる無作為化試験TINSAL-T2D

 米国の14大学と3医療機関で、18~75歳の患者の登録を進めた。血糖値が225mg/dL以下、HbA1cが7.0~9.5%で、生活改善(食事療法と運動)に取り組みながら、安定用量の経口糖尿病治療薬(メトホルミン、インスリン分泌促進薬、DPP-4阻害薬などを単剤で使用または併用)を8週間以上継続使用している人々を登録した。インスリン、チアゾリジン系薬剤などを投与されていた患者は除外した。

 偽薬のみを投与するランイン期間4週間を経て、服薬遵守率が80%以上だった患者を、無作為に27人ずつ、偽薬またはサルサレート(3.0、3.5、4.0g/日)に割り付けた。ベースラインで適用されていた糖尿病治療に追加する形で14週間投与した。

 主要アウトカム評価指標は、HbA1c値のベースラインからの変化に設定した。

 HbA1cがベースラインより0.5%以上低下した患者の割合は、サルサレート投与群で高かった(p=0.009)。

 偽薬群と比較したサルサレート群のHbA1cの平均変化は、3.0g/日群で-0.36%(p=0.02)、3.5g/日群では-0.34%(p=0.02)、4.0g/日群では-0.49%(p=0.001)と、いずれも偽薬群よりも大きかった。

この記事を読んでいる人におすすめ