日経メディカルのロゴ画像

疾風怒濤のドイツ医学生時代

2010/04/09
堀籠晶子

 1998年、ミュンヘン大学医学部に入学を許可されて以来、これまで無我夢中で過ごしてきました。この連載では、ドイツの臨床現場で内科を専門として働く私が、当地で医師として経験したこと、感じたことをお伝えしていきたいと思います。

 まず始めに、私が医学生だったころを振り返りながら、試験と臨床実習に中心に、ドイツの医学教育システムを紹介します。なお、私が卒業した後でドイツ医学教育の改革が行なわれたので、私がお伝えする内容は主に改革前のものだということを、あらかじめお断りしておきます。

ドイツの医学部に飛び込んだ!
 何のご縁か、私はドイツ人の男性と知り合い、結婚してドイツに渡りました。ドイツで地に足を着けて生活するためには、何か手に職を付けなくては、と考えていました。そして、医師である夫の影響を受け、次第に「生命に触れる仕事がしたい」と思うようになり、医師を志したのです。恐れを知らず飛び込むことができたのは、若かったからでしょう。とにもかくにも、ここから私のドイツでの疾風怒濤(ドイツ語ではシュトュルム・ウント・ドラングといいます)の医師修業が始まりました。

 医学部入学の合否は、ギムナジウム(大学進学のための教育機関で、日本でいう小学校5年生から中学・高校までに当たる8年制)の成績と、アビトューアプリューフング(大学入学資格試験)の結果から判定されます。アビトューアプリューフングでは4科目(語学、自然科学、社会科学、自由選択科目)について筆記および口頭試問が行なわれます(そのうち3科目は筆記、残りの1科目は口頭試問)。合否および成績は、かつては各ギムナジウムが決定していましたが、現在は州の管轄となっています。ギムナジウムの成績は6段階評価で「1」が最も良く、「5」以下は落第です。医学部に入学するためには、「1」の成績を収めていないと難しいようです。

 なお、私のように外国人が受験する場合は、1)国が指定するドイツ語試験に合格していること、2) アビトューア相当レベル(日本の教育であれば、大学の教養課程を修了しているレベル)の教育を受けていること―の2つが条件でした。その上で、母国の教育機関での成績を踏まえ、書類選考が行なわれるのです。入学条件は州によって少し違っているようです。

著者プロフィール

堀籠 晶子

ミュンスター大学病院(消化器内科・内分泌学教室)・勤務医

上智大学大学院卒業。ドイツ人医師の夫と共に渡独。2004年にミュンスター大学医学部を卒業後、北ドイツにある総合病院の内科にて研修。2010年より現職。休日は、ドイツに点在するお城を散策したり、長く寒い冬にはゆっくりサウナに入ったりして、リフレッシュしています。

この記事を読んでいる人におすすめ