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自分に合った勉強スタイルはどれ?

2010/04/19
高橋孝志

 これまで4回にわたって、メディカルスクール入学のための手順などを説明してきました。今回からは、いよいよ、実際の体験談を交えながらメディカルスクールでの生活について書いていきます。

 まずはアメリカのメディカルスクールの教育方法をテーマに取り上げましょう。これは学校によって大きく異なっています。私は、アプリケーション(受験のための書類)を提出する前に、その学校がどんな教育方法を採用しているかということも念頭に置いてリサーチしました。

 もっとも、どの教育方法が自分に向いているのか、この時点ではよく分かっていませんでした。ですから、私の場合は、教育方法の違いが学校選びの重要な決め手になったわけではありません。大半の学生と同じように、基本的には自分の成績ランクと学費(奨学金制度も含む)が大きな基準でした。

 教育方法について、私が細かい内容まで具体的に書けるのは、私自身が実際に経験したシステムに関してのみですが、それ以外についても、受験時に調べた情報などを交えて簡単に整理してみることにします。

Problem Based Learning
 「Problem Based Learning」(通称PBL)は、まず問題を提示して、そこから学んでいくという形式です。例えば、糖尿病の症例を題材に取り、そこから糖尿病に関する病理学、薬理学、生化学などを学んでいきます。私の通った学校では一部のクラスでPBLを採用していましたが、面接を受けた中には基礎の2年間をすべてPBLで通している学校もありました。

 私が受けた授業では、10人程度のグループごとに1つの症例が与えられ、各自が与えられた症例に関連するトピックを選び、次回のグループミーティングまでにリサーチして発表するという形でした。

 例えば「糖尿病の50歳男性は、現在メトホルミン500mgを使用しているが、フォローアップの診察で血中HbA1Cが基準値よりも高かった」という症例が提示されたとします。メトホルミンに関する薬理学的トピックを選んだ場合は、メトホルミンの投与量のコントロールや糖尿病に使われる他の治療薬について、あるいは病理学的なテーマを選んだ場合は、糖尿病の1型と2型の違いや合併症など、いくらでもトピックを広げていけるのです。

 PBLは実際の臨床実習に近い学び方だと思いますが、教科書を使わずに各自が作成してきた資料とプレゼンテーションを教材とするため、基礎の細かい部分の知識が不足するような気がして、私には少々不安が残る形式でした。

Lecture vs Group Discussion vs Individual Learning
 多くのメディカルスクールでは、「Lecture」「Group Discussion」「Individual Learning」の形式を組み合わせて教育を展開しています。

著者プロフィール

高橋 孝志

ミネソタ大学放射線科研修医

ワシントン州ワシントン大学で電気工学科学士および修士を取得。2008年にウィスコンシン医科大学を卒業後、ミネソタ州Hennepin County MedicalCenterにて、スーパーローテーション方式である Transitional Yearインターンとして勤務。2009年7月より現職。

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