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特集●中医協委員・関係者が語る「2010診療報酬改定」Vol.7
内科技術料の報酬論議にエビデンスの壁
内科系学会社会保険連合代表、診療報酬調査専門組織DPC評価分科会委員 齊藤寿一氏に聞く

──今改定の感想は。

齊藤 改定率はプラス0.19%とわずかであり、これでは、OECD加盟30カ国の国民1人当たりの平均医療費には到底届かない。それは残念だが、これまで社会保障費の自然増分が毎年2200億円削減されてきたことを考えれば、プラス改定だったことは一歩前進と言える。やはり、政権交代の影響が大きかった。

 具体的な中身を見ると、限られた財源の中での配分としては、メリハリの利いた、妥当な改定だったのではないか。

──内保連からの要望はどの程度反映されたか。

齊藤 要望としては、保険未収載の技術を208件、既収載の技術を182件出したが、これまでと同様に20%程度が反映された。特に、癌関連の項目は、われわれの意見が多く通っている。

 例えば、甲状腺癌の放射性ヨード治療などを念頭に置いた放射線治療病室管理加算は、500点から2500点へと大幅に上がった。これは内保連の重要要望の一つであり、引き上げの必要性を理解してもらったことに満足している。イメージガイド下放射線治療や、特殊光を用いた画像強調観察を併用した拡大内視鏡検査が引き上げられたことも、評価したい。

──外科の手術に関しては、外科系学会社会保険委員会連合の試案をベースに報酬が大幅に引き上げられたが。

齊藤 今回は、とりわけエビデンスが重視された改定だったと感じる。その一例が、手術料だろう。

 外保連の試案は、所要時間や必要な人員などをベースに独自に手術報酬を設定したものだ(関連記事:2010.4.14「外保連試案で手術料の増減が決まったのは画期的」)。確かに、内科でも、処置料などについては、同じように設定することが可能かもしれない。

 だが、内科の技術料の代表とも言える基本診療料(初再診料、外来管理加算)に関しては、時間や人員といったコストのみをベースにした点数設定はそぐわない。初再診料には、入院基本料と同じく、ホスピタルフィーが含まれていると考えられるからだ。

 また、指導料の中には継続管理を評価したものが少なからずあり、これらを、単に診察1回当たりの所要時間などで評価するのはふさわしくない。エビデンス重視の流れの中で、内科系の技術料を今後、どのように診療報酬に反映させるかが大きな課題となっている。


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