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JAMA誌から
若年性特発性関節炎の寛解後のMTX投与はいつまで?
6カ月でも12カ月でも再発率に差なし

 若年性特発性関節炎JIA)で、治療により寛解が得られた患者に、いつまでメトトレキサートMTX)の投与を継続すればよいのか。この疑問を検討するために行われた無作為化試験で、6カ月間継続しても、12カ月継続しても、再発率に差はないことが分かった。独Muenster大学のDirk Foell氏らが、JAMA誌2010年4月7日号に報告した。

 JIAは、治療によって寛解を達成できる患者が多い反面、再発率は高く、長期的な転帰の予測が難しい疾患だ。JIAに最も多く用いられる治療薬はMTXで、通常、寛解達成後も12カ月は投与が継続されることが多い。

 これまでは、治療中止が早すぎれば再発(再燃)リスクが高まる危険性があり、使用期間が過剰に長ければ有害事象のリスクは上昇すると考えられていた。だが、寛解後の治療継続期間の長短が転帰に及ぼす影響を評価した無作為化試験はなかった。

 また、投与中止後、約半数が再発を経験するが、治療中止の段階で再発リスクが高い患者を同定するために役立つマーカーは見付かっていなかった。

 そこで著者らは、寛解達成後のMTX投与期間が再発率に影響するかどうかを分析するため、また、特定のバイオマーカーが患者の再発リスクの予測に役立つかどうかを知るために、前向きの無作為化試験を29カ国の61医療機関で実施した。

 このオープンラベルの多施設試験の対象は、あらゆるサブタイプのJIA患者で、MTXにより寛解が初めて確認され、その後も投薬を受けていた患者。MTXの用量は最大で15mg/m2/週とし、併用は非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)1剤までとした。

 05年2月~06年6月に、条件を満たした患者364人(年齢の中央値は11.0歳)を登録、寛解達成後引き続きMTXを6カ月投与し、6カ月後も寛解が維持されていればその時点で治療を中止(併用しているNSAIDがあればそちらも中止)する群(183人、女児が65%)、または、12カ月投与し12カ月後も寛解が維持されていればその時点で治療を中止する群(NSAIDについても同様)(181人、女児が68%)に割り付けた。

 治療中止後、1年以上にわたって追跡し、寛解状態にあるかどうかを調べた。

 著者らは、食細胞(phagocyte)の活性化のマーカーで体内における炎症の状態を反映するMRP8/14(myeloid-related protein complex)が再発予測に役立つのではないかと考え、MTXの投与中止時にMRP8/14レベルを測定した。

 主要アウトカム評価指標は、再発率、2次評価指標は再発までの期間に設定。分析はintention-to-treatで行った。

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