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BMJ誌から
インスリン治療中のメトホルミン投与はホモシステイン値上昇を招く
ビタミンB12欠乏を介して作用

インスリン治療を受けている2型糖尿病患者にメトホルミンを長期投与すると、ビタミンB12欠乏(150pmol/L未満)、ビタミンB12低値(150~220pmol/L)と、ホモシステイン濃度の上昇を引き起こすことが、オランダAmsterdam大学病院のJolien de Jager氏らが行った無作為化試験で明らかになった。論文は、BMJ誌2010年5月29日号に掲載された。

 メトホルミンは2型糖尿病患者に対する第一選択薬として広く用いられている。有害事象もほとんどないと考えられてきたが、メトホルミンがビタミンB12の吸収を妨げ、ビタミンB12欠乏を引き起こす危険性があることは示されていた。

 ビタミンB12欠乏は葉酸レベルを低下させ、さらにはホモシステイン値を上昇させる可能性がある。ホモシステイン高値は、特に2型糖尿病患者において心血管疾患の独立した危険因子として知られている。

 これまでに報告されたメトホルミン投与によるビタミンB12欠乏症は、全て短期的な試験の結果に基づいていた。長期にわたって偽薬群と比較した研究はなく、メトホルミンが2型糖尿病患者のホモシステイン値に与える影響を調べた無作為化研究もほとんどなかった。

 そこで著者らは、メトホルミンが2型糖尿病患者の代謝と微小血管疾患、大血管疾患に及ぼす影響を調べる多施設無作為化試験HOMEの一部として、今回の分析を行った。

 HOMEの対象は、オランダの、大学病院ではない3カ所の病院の外来を受診した、インスリン治療を受けている30~80歳の2型糖尿病患者。390人を登録し、850mgのメトホルミン(196人)または偽薬(194人)に割り付けて、1日3回、4.3年投与した。

 主要アウトカム評価指標は、ビタミンB12、葉酸、ホモシステイン濃度のベースラインからの変化とし、分析はintention-to-treatで行った。

 試験を完了したのはメトホルミン群131人、偽薬群146人。有害事象による治療中止は、メトホルミン群が30人、偽薬群が16人だった。

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