高血圧症、糖尿病、脂質異常症の3大生活習慣病関連の医薬品は、市場の中でも大きな伸びを示しています。アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やDPP-4阻害薬などの新しい作用の新薬に代表されるブロックバスターが多く登場し、最近では配合剤も競って開発が進められています。
これらの生活習慣病は、心血管疾患、脳血管疾患や神経障害、小血管障害、腎症、眼疾患など様々な合併症を引き起こすやっかいな疾患です。初期段階では無症候性のため、患者自身の自覚が弱く、指導通りに通院しない患者が多いという点でも、やっかいといえます。
そこで今回は、新たに生活習慣病と診断された患者のその後の通院状況と、そうした患者に処方されている医薬品の変化を、時系列観察により分析してみました。
対象としたデータは、いつものように健康保険組合のレセプトです。2006年12月~2007年11月までの間に高血圧症、糖尿病、脂質異常症のいずれかで診療を開始し、2009年10月時点で健保組合加入が確認できる人のレセプトとしました。検査を行った場合などにつく疑い病名のレセプトは含んでいません。診療開始後の観察期間は、2006年12月~2009年10月。患者単位では、23カ月観察しています。
23カ月後の継続受診率は3疾患とも40%以下
まず、各疾患の新患の受診継続の状況です(図1)。 対象患者数を母数にした受診患者実数の比率の変化を時系列で示しました。横軸は診療開始月からの経過月数です。開始月が「1」なので、右端の「24」は診療開始から23カ月後となります。
例えば、脂質異常症の対象患者が100人いるとします。23カ月後の継続受診率が40%だとすると、これは、23カ月後もどこかの医療機関を受診してレセプト上に脂質異常症等の傷病記載があった患者が40人いるということです。ただし、その40人の患者が、診療開始からの23カ月間、毎月欠かさず受診していたという意味ではありませんので、ご注意ください。
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著者プロフィール
木村真也(株式会社日本医療データセンター社長)●きむらしんや氏。1981年京都産業大学卒。大手外資系製薬会社マーケティング部長、CROバイスプレジデントなどを経て、2002年に日本医療データセンターを設立。
連載の紹介
レセプトを読み解く
日本医療データセンター(JMDC)では、複数の大手健康保険組合からのレセプトや健診データを基に、様々な分析を行ってます。1000万件を超える膨大なデータから、同社社長の木村氏が、医療の「今」を探ります。
この連載のバックナンバー
2012/06/11
2012/04/16
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2011/12/22
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