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医療制度改革のヒントを探る

第6回
サービス水準の引き下げよりも財源確保と支出抑制が重要
読者の意見から

 第6回では、第1回から第5回までを参考に、日経メディカル オンライン読者に対して行った調査の結果を紹介する。この調査は2010年5月26日~6月8日にかけて、医師向けコミュニティーサイト「MedPeer」で行った。その結果、1648件の回答が寄せられ、十分な医療財源を確保するために、「費用対効果」の低い支出の削減や、選定医療制度など「任意支払い」の拡大が必要と考える医師が、5割近くに上ることが明らかになった。

 これまでの連載では、医療制度をなぜ改革する必要があるのか、特に財政面の課題はどこにあるのかを論じてきた。そこでこの調査では、「十分な医療財源を確保するために、何が最も重要と思うか」という質問を用意。これに対し、支出の抑制、新たな財源確保など四つの選択肢で回答を求めた。

 その結果、27.1%が新たな財源確保を目的とする「選定療養制度など『任意支払い』の拡大」と回答。これに、支出の抑制策である「『費用対効果』の低い支出のカット」が25.2%と続いた。合わせて約5割である。一方、医療提供レベルの適正化を目的とする「提供されるサービス水準の引き下げ」と回答したのは9.3%で、1割にも満たなかった。多くの医師が、医療サービスの水準を下げることより、新たな財源確保と無駄な支出のカットを重要と考えているようだ。

著者プロフィール

ルードヴィヒ・カンツラ(マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン)●オックスフォード大学にて経済学修士・博士号取得。1995年より日本在住。2001年マッキンゼー入社。アジア諸国(主に日本)でのヘルスケア分野を主に担当。

連載の紹介

医療制度改革のヒントを探る
マッキンゼーが、日本国内の医療制度について2008年末に独自にまとめたレポート「医療制度改革の視点」の内容を順次紹介していきます。ぜひ一緒に考えてみてください。本連載の意義と目的については、こちらをご覧ください。

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