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支持関係が入り組み票の奪い合いの恐れも
日医・病院団体が推す3人の参院選候補者の横顔は?
いずれも病院を経営、医療の内容はまちまち

6月7日に東京都内で開かれた、民主党新人候補の安藤たかお氏の決起大会。

 通常国会も幕を閉じ、永田町はいよいよ参院選に向けて走り出した。日本医師会の政治団体、日本医師連盟も、既に比例代表区の立候補予定者3人の推薦または支援を決めている。推薦が安藤たかお氏(民主新)、支援が西島英利氏(自民現)と清水こういちろう氏(みんなの党新)だ。3候補はいずれも総決起大会を終え、24日の告示を前に事実上選挙戦に突入している。
 
3人とも病院・老健施設を経営 
 年齢や公認政党はばらばらの3人だが、共通点はある。安藤氏が日本大学、西島氏が日本医科大学、清水氏が大阪医科大学といずれも私立大学の医学部卒業生であることが一つ。加えて、3人とも診療所開業医ではなく病院経営者だ。また、いずれも老人保健施設を経営している。

 もっとも、提供している医療の内容は異なっている。安藤氏は、東京都八王子市と町田市で2病院を経営し、急性期から回復期、慢性期まで幅広い医療を展開。これに対し、西島氏は北九州市小倉南区で精神病院を経営、認知症やパーキンソン病など高齢者の脳疾患の治療も行っている。また清水氏の経営する病院は京都市伏見区にあり、脳神経外科、整形外科、内科などを標榜し、救急医療も手がけている。

 ただ、決起大会で配られたリーフレットなどに記載されている政策を見る限り、手がけている医療の差による違いはほとんど感じられない。医師が医療政策を語る上での最大の強みは、実際に現場で診療に従事したり医療機関を経営している点にあるだけに、選挙戦では3人それぞれの現場感覚に基づいた提言をしてほしいところだ。

医師会・病院団体の統一候補を生んだ現場の危機感
 3人が病院経営者であることもあって、日本病院会の政治団体は、日本医師連盟のように差をつけず3人とも推薦とした。また、全国老人保健施設協会の政治団体も、3人全員を推薦。加えて、やはり老健施設を経営する医師の土田博一氏(民主現)も推薦している。

 ただ、日本病院会とともに四病院団体を構成する全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会の各政治団体は、各候補への支援姿勢に微妙な違いがある(表1)。

 安藤氏は、擁立の原動力となった日本医療法人協会の全面的な支援をはじめ、四病協全体の推薦を受けた。7日に東京都内で開催された決起大会で、日本病院会政治連盟委員長の梶原優氏は、「安藤氏は、医師会と病院団体による初の統一候補。医療現場が強い危機感を持っていることを示すためだ」とその意義を強調している。

 一方、西島氏と清水氏に対しては、全日本病院政治連盟はいまだ態度をはっきりさせていない。日本医療法人連盟は、現時点では西島氏を支援する考えはないという。

 3年前の参院選は、日本医師連盟が推薦した自民党現職の武見敬三氏が落選し、一部の都道府県医師会の政治団体が推薦した国民新党の自見庄三郎氏が当選するという結果になった。今回は、計3人を推薦・支援している上、病院団体や地方の医師会の支持は入り組んでおり、医系候補同士の票の奪い合いを危惧する声も上がっている。

 こうした状況の中で、3人の立候補予定者が、17日間の選挙戦をどう戦うのか、じっくり見ていきたい。

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