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Lancet誌から
高用量アロプリノールが抗狭心症薬としても有効

痛風治療薬として広く用いられているキサンチンオキシダーゼ阻害薬のアロプリノールが、安定狭心症の治療薬としても有効であることが、英Dundee大学のAwsan Noman氏らが行った無作為化試験で明らかになった。論文は、Lancet誌2010年6月19日号に掲載された。

 キサンチンオキシダーゼ阻害薬については、心筋の酸素消費量低減などを通じて虚血治療に役立つ可能性が示されており、心不全に対する有効性は報告されている。著者らは新たに、慢性安定狭心症患者を対象に、高用量アロプリノールの抗狭心症薬としての有効性を評価することにした。

 この二重盲検の無作為化クロスオーバー試験は、英国の1病院と2つの診療所で行われた。07年1月から08年7月まで、18~85歳で、血管造影で冠疾患が確認され、運動負荷試験が陽性、慢性的な安定労作性狭心症の状態が2カ月以上続いている患者65人(平均年齢64.6歳)を登録、アロプリノール600mg/日(31人)または偽薬(34人)に割り付け、6週間投与した。続いて、ウォッシュアウト期間なしに割り付けを逆にし、さらに6週間投与を継続した。

 アロプリノールは、当初1週間は100mgを1日1回投与し、2週目には300mgを1日1回とし、その後は300mgを1日2回投与した。

狭心症に対する治療薬は使用を許可したが、試験期間中の変更は認めなかった。

 主要エンドポイントは、運動負荷試験中のST低下までの時間、2次エンドポイントは、運動継続時間、胸痛出現までの時間に設定した。

 脱落した患者は5人で、全員がベースラインの運動負荷試験しか受けていなかったため、分析から除外した。

 アロプリノール群では尿酸値が有意に低下した(ベースラインの0.36mmol/Lから0.14mmol/Lへ、P<0.0001)。

 ALT値は、アロプリノール群でわずかに上昇(ベースラインの73U/Lから76U/L)したが、それ以外の血液学的、生化学的測定値には両群間に差はなかった。

 アロプリノール群のST低下までの時間、運動継続時間、胸痛発現までの時間は偽薬群に比べ有意に長かった。

 アロプリノール群のST低下までの時間の中央値は、ベースラインの232秒(四分位範囲182~380秒)から298秒(211~408秒)に延長した。偽薬群では249秒(200~375秒)(P=0.0002)で、アロプリノールと偽薬の絶対差の点推定値は43秒(95%信頼区間31-58秒)となった。

 ST低下までの時間の延長を経験したのは、アロプリノール群が51人(85%)、偽薬群は35人(58%)だった。

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