「結核は過去の病気ではない」と言われ続けているにもかかわらず、「臨床現場では、いまだに昔の病気というイメージが根強く残っている」と、国立病院機構東京病院外来診療部長の永井英明氏は嘆息する。
2008年に新規登録された、わが国の結核患者は2万4760人で、罹患率は人口10万対19.4。「1990年代後半にいったん罹患率が増加し、99年の厚生大臣(当時)による結核緊急事態宣言を経て、現在は減少に転じている。だが最近は、以前に比べて減少の程度が緩やかになっている」と、結核予防会結核研究所臨床・疫学部副部長の大森正子氏は話す。日本の結核患者数は、減ってはいるものの、欧米先進諸国とは依然として大きな開きがあり、WHOの定義ではいまだに「結核中まん延国」に当たる。
しかも、高齢者に限っていえば、罹患率はむしろ上昇している。新規登録結核患者を年齢別に見ると、高齢者の中でも75歳以上の患者の割合が顕著に増加している(図1)。
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