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【第11回 スタッフの採用】
「家族の意向」は重要なポイント

2010/06/23

 N氏の内科クリニックの開業準備も、内装工事がそろそろ終盤を迎えました。この時期には、いよいよ看護師や事務スタッフの募集を開始しなければなりません。

 様々な募集方法がありますが、N氏が選んだのは新聞の折り込み広告。スーパーマーケットや家電量販店などの安売りチラシと一緒に出すことで、看護師や医療事務の資格を持っていながら、現在は働いていない30~40歳代の専業主婦を採用できればと考えたのです。日曜日に折り込み広告を出し、それから1週間後を募集締め切り日としました。結果、50人(うち看護師5人)もの応募がありN氏は大喜びしました。

 まずは履歴書や志望動機などの書類を選考して10人に絞り込み、後日、採用面接を実施する旨を連絡して面接日を決定。主婦の場合、家庭の事情で勤務時間を制限されるケースが少なくないので、面接でN氏は、これまでの経験のほか、午後および土曜日の勤務が可能かどうかを重視して選考しました。最終的には受付事務4人、看護師3人を採用することにしました。

 1カ月前にオープニングスタッフが決まり、開業へ向けていよいよ研修がスタート。ところが、ここでトラブルが発生しました。面接時には「午後の勤務も可能」と聞いていたスタッフから、「午前勤務だけでお願いしたい」と申し入れがあったのです。このスタッフは面接時には、ご主人からまだ了解を得ていなかったのですが、午後の勤務の理解は十分得られる旨をN氏に伝えていたのです。ところが、採用が決まってご主人に勤務時間を説明したところ、どうしても承諾を得られなかったのだそうです。

著者プロフィール

日本医業総研●医院・診療所の開業コンサルティング企業。関西地方を中心に、220件以上の開業支援実績がある。関西および関東でクリニックモールの企画・開発も積極展開している。

連載の紹介

開業の落とし穴
開業は一生の一大事。一方で、診療所の経営環境は悪化の一途をたどっています。開業地の選定や資金調達など、軌道に乗るまでに潜むさまざまな落とし穴を、過去に開業されたドクターの事例を基に紹介します。

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