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抗肥満薬のNB32、2型糖尿病の体重過多/肥満で減量とHbA1c値の改善をもたらす

2010/06/26

抗肥満薬として開発されているナルトレキソン/ブプロピオンの徐放型配合物NB32は、2型糖尿病の体重過多あるいは肥満において持続性のある減量とHbA1c値の改善をもたらすことが示された。第3相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験であるCOR-Diabetesの結果、明らかになった。米ダラス・Baylor Medical CenterのPriscilla Hollander氏らが、6月25日から29日まで米オーランドで開催されている第70回米国糖尿病学会学術集会(ADA 2010)で発表した。

 COR-Diabetesは、経口抗糖尿病薬を服用しているか、または服用していない2型糖尿病(ベースラインHbA1c;7-10%)を対象に、体重過多あるいは肥満における徐放性ナルトレキソン/徐放性ブプロピオン併用療法の有効性と安全性を調べるもの。

 対象は505人で、経口NB32投与群(1日当たり32mg徐放性ナルトキソン/360mg徐放性ブプロピオン)あるいはプラセボ群に2対1の割合で無作為に割り付けた。

 主要評価項目は、56週時での体重変化率と5%以上減量した被験者の割合とした。副次的評価項目は、10%以上の減量をした被験者の割合、血糖値の変化、心代謝リスクマーカーおよび食事管理能力とした。

 ベースライン時の被検者の特徴は、両群とも同様だった(平均年齢54歳、54%が女性、80%が白人、平均体重106kg、平均体格指数37kg/m2、HbA1c 8.0%)。修正ITT-LOCF法を採用し、ベースライン以降、1回以上の体重測定を実施したのは、NB32群265人、プラセボ群159人だった。

 試験を完了した割合は、NB32群で52%、PBO群で59%だった。56週時の減量率をみると、NB32群が-5.0%、プラセボ群が-1.8%とNB32群で有意に多かった(p<0.001)。またNB32治療群では、5%以上の減量および10%以上の減量を達成した人がプラセボ群より多かった(それぞれ44.5%対18.9%、18.5%対5.7%)。

 HbA1c値については、NB32群はプラセボ群に比べて著しい改善(-0.6%対-0.1%、p<0.001)がみられた。HbA1c値7%以下を達成した人の割合(44.1%対26.3%、p<0.001)が高かった。さらに、プラセボ群に比べてNB32群では胴囲(p<0.01)、中性脂肪値(p<0.01)およびHDL-C値(p<0.001)の有意な改善を認めた。LDL値、空腹時血糖値、インスリン、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)のそれぞれの値についても改善の傾向が見られた。このほかNB32群は、食事管理能力が大きく向上したことも明らかになった(p<0.05)。

 なお、NB32治療に伴って生じた有害事象のうち頻度が高かったものは、吐き気・悪心(NB32群42.3%対プラセボ群7.1%)、便秘(同17.7%対7.1%)、および嘔吐(同様に18.3%対3.6%)だった。初期に生じた吐き気は一過性でほとんどが軽度/中程度であったという。NB32治療の影響による抑うつ、自殺願望、あるいは低血糖症といった有害事象はなかった。

 これらの結果から演者らは、「糖尿病患者においてNB32療法は忍容性が良好で、持続性のある減量を促し、血糖管理と心代謝リスクマーカーを改善した」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)

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