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特集●臨床研修マッチング最終結果報告
新制度初のマッチングで笑った病院、泣いた病院

 2009年度に実施された医師臨床研修制度の見直しは、マッチングにおいて医学生の応募状況にどのような変化をもたらしたのか―。2009年12月18日に開催された厚生労働省の医道審議会医師分科会医師臨床研修部会で、2011年度以降の臨床研修制度について議論が始まった。そこで議論の材料として、制度見直しにより研修プログラムがどう変化したのか、地方偏在は解消できたのかなどについて、具体的なデータが報告された。

 現在の卒後臨床研修制度は、研修プログラムの弾力化、都道府県別の定員数の見直しなどを目的に、2009年5月に改正されたものだ(2009.6.29「玉虫色の改正内容をどう読む?」を参照)。研修プログラムの弾力化については、これまで必修科目だった外科、麻酔科、小児科、産婦人科、精神科を選択必修とし、各研修施設が独自色を出せるようになった。この変更への対応は、専門医教育を強みにしたい大学病院と、プライマリケアの臨床能力を重視する市中病院で、大きな違いが見られた。

 大学病院の研修プログラムのうち、7診療科を必修とした研修プログラムの数は、約6%程度にまで減少。内科、救急、地域医療の3科のみを必修とした研修プログラムの割合は約39%で、3科以外に必修科目を設けたプログラムは約15%、産科・小児科専門プログラムは約39%だった。

 マッチング最終結果を見ると、東大や東京医科歯科大など、定員充足率の上位校の顔ぶれはあまり変わらないが、昨年度より大幅に充足率が上がったり、マッチ者数を増やした大学が目立った。マッチ者数が10人以上増えた12大学の中には、岡山大、金沢大、香川大など、首都圏以外の大学病院も目立つ。一方で、マッチ者数が10人以上減った大学も8大学あり、大学間で格差が広がっている。

 専門性を前面に出した研修プログラムに変更した大学や、研修医の獲得・育成に本腰を入れて取り組み始めた大学が、学生に評価されたようだ(大学病院の2009年医師臨床研修マッチング最終結果は、2009.10.30「結局、今年も大学病院は半数割れ」を参照)。

従来の研修方式を貫く市中病院がマッチング上位に

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