研修医 先生、入院患者さんのことで相談してもいいですか。
指導医 いいですよ。今外来が終わったところだから、ちょうどいいタイミングでしたね。
研修医 患者さんは38歳の女性で、1週間ほど前に急性の胃腸炎で入院したんですけど、毎日40度の発熱があって、全然良くなる気配がありません。培養検査も入院時に血液、尿、便を出したのですが、全部陰性で返ってきています。もしかしたら成人スティル病とか全身性エリテマトーデス(SLE)とかの膠原病じゃないかと思って心配になってしまったので、コンサルトをお願いしてもいいでしょうか。スティル病やSLEの患者さんはあまり診たことがないんです・・・。
指導医 1週間続く今のところ原因不明の発熱ということですね。では、一緒に考えていきましょうか。まず、もう少し詳しく患者さんのことを教えてもらっていいですか。
研修医 1週間ほど前の週末に、急性胃腸炎の症状があって救急外来を受診され、入院になりました。月曜日に私が引き継いでからは消化器症状はなく、毎日40度の熱が出ています。最初は、感染症が長引いているのかと思ったのですが、特にお腹も痛くないようですし、診察してもはっきりとした所見がありません。腎盂腎炎も疑ったのですが、尿検査の結果を見ると違うようです。入院時からセフメタゾンを投与しているのですが全く改善がありません。
原因不明の発熱ということで、感染症、腫瘍、膠原病を念頭に置いて考えたのですが、血液検査でも血球に異常はありませんし、38歳の女性でいきなり悪性腫瘍というのも可能性が低いと思って・・・。感染症に関しては、心エコーや婦人科系も含めて検査しましたが特に見つからなかったので、残るは膠原病じゃないかと。
40度以上の不明熱、鑑別に挙がるのは・・・
指導医 なるほど。では、鑑別を考えていきましょう。1994年のNew England Journal of Medicine(NEJM)誌に載っていた(文献1)、古典的な多関節炎と発熱についての鑑別診断はまだ覚えていますか?
研修医 この前に昼のカンファでもらったプリントですね。40度以上の発熱の場合は、化膿性関節炎、成人スティル病、SLEとなっています(表1)。
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著者プロフィール
本連載は、聖路加国際病院アレルギー膠原病科の岸本暢将(きしもと みつまさ)氏、田巻弘道(たまき ひろみち)氏、岡田正人(おかだ まさと)氏らが中心となり執筆します。
連載の紹介
【臨床講座】非専門医のためのリウマチ・アレルギー診療Update
リウマチ膠原病・アレルギー領域は、新しい治療法の開発が盛んで、診断基準も見直されるなど、目まぐるしく変化しています。この領域の診断法、治療法を、最新の話題を交えながら分かりやすくお伝えします。
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