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特集●百日咳診断・予防の最新情報
百日咳はもはや成人の疾患
成人の占める割合は3分の2との報告も

 鎮咳薬では治らない乾性咳嗽が、日に日に激しさを増す。発作性の途切れなく続く咳込みや、吸気性笛声、咳込みによる嘔吐を認め、チアノーゼや無呼吸、顔面紅潮、眼瞼浮腫、結膜充血なども出現する―。百日咳に感染したワクチン未接種児には、こうした特有の症状が認められる。

 一方、ワクチンを複数回接種した小児や成人が百日咳に感染した場合は、主な症状は長引く咳であり、特有の咳などが認められることは少ない。そのため、ワクチン接種児や成人では百日咳の診断が付きにくかったが、2000年ごろから成人の長引く咳の一因として百日咳に注目が集まり、感染者の掘り起こしが進んできた。

 実際、国内では、百日咳と診断される成人が増えている。百日咳は感染症法における5類感染症・定点把握疾患に分類され、全国3000カ所の小児科定点からの報告対象となっている。この小児科定点からの報告を集めた感染症発生動向調査によれば、百日咳と診断された患者のうち、20歳以上の成人の割合は2000年以降着実に増加。成人の百日咳感染に対する認知が広がったことで、08年には36.7%に達した(図1)。

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