中心静脈カテーテル(CVC)挿入時に、最大無菌操作法(MSBP)を適用することが、本当にカテーテル関連血流感染症(CRBSI)の予防に有効なのか―。この疑問を検証すべく無作為化試験を行った日本医科大学第一外科の石川義典氏らは、MSBPを適用した群と標準無菌操作法を適用した群でCRBSI罹患率に差がないことを明らかにした。論文は、Annals of Surgery誌電子版に2010年3月10日に掲載された。
米疾病管理センター(CDC)の「血管内留置カテーテルに関連する感染予防のためのガイドライン」(2002年)は、すべてのCVC挿入時にMSBPの適用を推奨している(カテゴリーIA)。しかしこの勧告は、99%が化学療法中の癌患者という集団を対象とする単一施設試験で得られた結果のみに基づいて作成されたものだ。
MSBPがCRBSIの発生を減らすことを示唆した観察研究は複数あるが、CRBSIリスクが高い患者を対象としたものが多く、一般外科病棟の患者を対象にMSBPの有効性を評価した無作為化試験はこれまで行われていなかった。
そこで著者らは、2004年3月14日から2006年12月28日まで、日本国内の9カ所の病院の一般外科病棟でCVC挿入が予定されていた18歳以上の患者を登録。条件を満たした424人を、無作為に、MSBP(211人)、または標準無菌操作法(SSBP、213人)に割り付けた。SSBPでは、医師が滅菌手袋と小型ドレープを使用。MSBPでは、滅菌されていないマスクとキャップ、滅菌手袋、滅菌ガウン、滅菌された大型ドレープを用いた。CVC挿入は両群ともまったく同様に実施した。
追跡は、カテーテル抜去まで、またはカテーテル挿入から8週間行った。
主要エンドポイントはCRBSI罹患率、2次エンドポイントはカテーテル関連感染症(CRI)罹患率に設定し、intention-to-treatで分析した。
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2010/03/25
大西 淳子=医学ジャーナリスト新規に会員登録する
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