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どうなる?2010診療報酬改定

シリーズ●どうなる?2010診療報酬改定 Vol.55
決定!2010年度診療報酬改定
診療側、支払い側委員ともに一定の評価

2月12日、中医協が2010年度診療報酬改定を長妻昭厚生労働大臣に答申。大臣は「この答申の理念を実現すべく、全力で取り組んでいきたい」と語った。

 2月12日、中央社会保険医療協議会中医協)総会が開かれ、2010年度診療報酬改定の答申を取りまとめた(資料はこちら)。

 答申では、入院(+3.03%、同4400億円)と外来(+0.31%、同400億円)で分けて提示された改定率(ネットで+0.19%)を基に各報酬項目の具体的な点数を決定。入院においては、救命救急センターや二次救急医療機関の報酬引き上げ、手術料の大幅アップ、医師事務作業補助体制加算の充実など、急性期医療が重点的に評価された。

 一方、外来については病院の再診料が引き上げられたものの、診療所に関しては再診料のほか検査・処置料が引き下げられ、厳しい改定となった。ただし、休日や夜間などの診療時間外にも患者に対応する診療所を評価した報酬項目が新設され、再診料の引き下げをカバーできる仕組みとなった。

 総会終了後、記者会見に臨んだ診療側委員からは、「もう少し改定率を高くしてほしかった」、「診療所の再診料の引き下げは残念」といった声が上がったが、「メリハリのある改定ができた」と評価する意見が大勢を占めた。ただ、診療所開業医の収入などについて正確なデータに基づいた議論がなされなかった点を今改定の課題として挙げ、次回の12年度改定では診療側自らが様々なデータを用意して提示していくとした。

 これに対して支払い側委員も、「財源が不足する中、プラス改定となったことは残念」としながらも、急性期の入院医療など重点課題とされた項目の充実が図られた点を評価。加えて、日本労働組合総連合会「患者本位の医療を確立する連絡会」委員の勝村久司氏は、長年にわたって要望してきた診療報酬明細書の患者への無料発行が実現したことに感謝の意を表した。

“お薬受診”は外来管理加算の算定不可
 外来に関する今回の改定議論の焦点となったのは、診療所(71点)と病院(60点)の再診料の一本化。何点で統一するかで診療側と支払い側でもめにもめたが、診療所を現行より2点引き下げる一方、病院(200床未満)を9点引き上げ、69点で一本化された。

 ただし、患者からの電話問い合わせに対して、標榜時間外も対応する体制を整えている診療所を評価する「地域医療貢献加算」を新設。点数は3点で、再診料への加算だ。この加算を算定できれば、再診料の引き下げ分をカバーできることになる。

 また、再診料の加算点数である外来管理加算(52点)に関しては、現行の「5分ルール」を廃止。それに代わって、医師の懇切丁寧な説明に対する評価をより明確化する観点から、患者から投薬のみの要請があり簡単な症状の確認だけで継続処方した場合は、外来管理加算の算定対象外とした。

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