日経メディカルのロゴ画像

特集●CT検査の発癌リスクを考える
癌患者の2%がCT検査による発症?

 昨年12月、CT検査での放射線被曝によりがどのくらい増えるのかを、シミュレーションモデルを使って求めた研究結果が発表された[1]。シミュレーションには、広島・長崎における原爆生存者のデータが用いられた。それによれば、2007年の1年間に米国民が受けたCT検査により、将来、約2万9000人(95%信頼区間 1万5000人~4万5000人)が癌になる計算だという。これは、米国で毎年発症する癌の約2%に相当する。

 こうした“警告”が出される背景には、CT検査が米国の医療現場に急速に浸透してきたことがある。米国で年間に行われるCT検査は、1980年は約300万件だったが、2006年には約6200万件に増えた(図1)。1回の検査に伴う被曝線量は、胸部単純X線検査(前後方向)は0.01mSv(ミリシーベルト)であるのに対して、成人の腹部CT検査は10mSv。単純計算で、腹部CT検査を1回行うと、単純X線検査1000枚分の被曝を受けることになる[2]。 

この記事を読んでいる人におすすめ