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医師採用のプロが見た! 医療崩壊の真実

2010/02/19

 先日、当院でもお世話になっている医師採用コンサルタントの勝又健一氏から『医療崩壊の真実』(アスキー新書)という新書をいただきました。勝又氏自身が、医師専門エージェントとしてのキャリアを通して見た医療現場の真実を書き下ろした力作です。

 表帯には「医療コンサルタントが現場から指摘! 医者と病院のホンネ、医師不足問題の本質とは?」、裏帯には「なぜ年収3000万でも医者は病院を去るのか?―誰も言わない本当の理由をあぶり出す!」と興味を引くフレーズが続いています。

 私は今まで、地方の勤務医の立場から医療崩壊の現状を分析して訴えてきました。しかし医師のリクルートにかかわってきたプロの視点からの分析には、きっと自分とは異なる側面があるのではないかと、一気に読み進めました。

 各章のタイトルをご紹介すると、第一章は「なぜ年収3000万円でも医者は去るのか?」、第二章「“聖職”ではやっていけない―医者という孤独な職業」、第三章「“儲からない”のが当たり前=病院という不自由なビジネス」、第四章「医療は“当然のサービス”?―患者も行政も意識を変える時期」、そして終章「“良い医療”をどう実現するか」と、豊富な内容になっています。

 どの章も、医師採用コンサルタントとして接した多くの医師、そして医師不足に悩む病院との対応に裏打ちされた、納得できる内容で埋め尽くされていました。医師をリクルートするときのポイントや入職後のフォローの注意点なども書かれており、医師をリクルートする病院長や担当事務の方にとっても必見の書籍です。さらに、転職を考えている勤務医にとっても有益な示唆に富むものと感じました。

 私が特に印象に残った部分は、第二章の「医者になった理由は『成績が良かったから』」(p66)でした。以下に一部を抜粋します。

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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