日経メディカルのロゴ画像

JAMA誌から
糖尿病合併高血圧、130mmHg未満の降圧に利益なし
収縮期血圧は130~140mmHgが最適、INVESTの事後解析(2010.8.20訂正)

2010/07/14
西村 多寿子=東京大学

 糖尿病冠動脈疾患を有する高血圧患者に対して、収縮期血圧を130mmHg未満にする厳格管理は、130~140mmHgの通常管理と比べて心血管リスクを低減せず、死亡リスクをむしろ増加させる可能性があることが大規模臨床試験の事後解析で明らかになった。JAMA誌7月7日号に掲載されたこの結果は、米国の「JNC(Joint National Committee)8」など策定中の各種ガイドラインの降圧目標値にも一石を投じそうだ。

 その大規模臨床試験はINVEST(International Verapamil SR-Trandolapril Study)と呼ばれるもので、1997年9月から2003年3月までに14カ国862施設で登録された、高血圧と冠動脈疾患を有する患者2万2576例が対象になった。標準治療としてCa拮抗薬またはβ遮断薬を投与、必要に応じてACE阻害薬や利尿薬を追加し、治療薬の種類と降圧の関係を検討した。

 本研究はINVEST参加者のうち、ベースライン時に糖尿病に罹患していた50歳以上の患者6400例(28%)のデータを利用し、加えて、米国在住の患者については、08年8月までの死亡データをNational Death Indexから入手した。試験期間中の収縮期血圧の管理状況により対象患者を、(1)
130mmHg未満(厳格管理群)、(2)130mmHg以上140mmHg未満(通常管理群)、(3)140mmHg以上(管理不十分群)──の3群に分類した。

 主要アウトカムは、総死亡・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の複合とした。Kaplan-Meier曲線で累積イベント発生率を示し、収縮期血圧がアウトカムに及ぼす影響について、ステップワイズCox比例ハザードモデルを用いて評価した。

 患者6400例の平均年齢は66歳、女性の比率は54%、平均体格指数(BMI)は30だった。収縮期血圧による分類では、厳格管理群2255例(35.2%)、通常管理群1970例(30.8%)、管理不十分群2175例(34%)だった。全体で1万6893人・年のデータが集積された。

この記事を読んでいる人におすすめ