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JAMA誌から
糖尿病で冠疾患の患者は収縮期130mmHg未満で死亡率上昇の恐れ
INVEST試験の2次分析結果

 糖尿病冠疾患の患者の収縮期血圧を130mmHg未満まで下げると、130~140mmHgに維持された患者よりも全死因死亡が高くなる可能性が、無作為化試験の2次分析によって示された。心血管複合イベントの発生率には有意差はなかった。米Florida大学のRhonda M. Cooper-DeHoff氏らが、JAMA誌2010年7月7日号に報告した。

 米国のガイドラインは、糖尿病患者の収縮期血圧の目標値を130mmHg未満、拡張期血圧の目標値を85mmHg未満としている。だが、これまで、ガイドラインが示す目標値を達成した患者の臨床転帰が、達成できなかった患者より良好なのかどうかは明らかではなかった。そこで著者らは、収縮期血圧130mmHg未満を目指して血圧管理がなされた糖尿病かつ冠疾患の患者を対象に、実際に達成された収縮期血圧値と有害な心血管アウトカムの関係を調べることにした。

 具体的には、前向き無作為化試験International Verapamil SR-Trandolapril study(INVEST)の2次分析を行った。INVEST試験に登録された、50歳以上の高血圧で冠疾患の患者2万2576人のうち、ベースラインで糖尿病だった6400人(平均年齢66歳、54%が女性)を選んで分析した。

 患者登録は、97年9月から2000年12月までに14カ国の862施設で行われ、03年3月まで追跡された。米国で登録された患者については、National Death Indexを用いた死亡に関する延長追跡を08年8月まで行った。

 全ての患者について、収縮期血圧の目標値を130mmHg未満、拡張期血圧の目標値を85mmHg未満とし、最初にカルシウム拮抗薬またはβ遮断薬を投与、糖尿病患者については当初からACE阻害薬も投与し、状況を見ながら利尿薬を追加した。

 主要アウトカム評価指標は、全死因死亡、初回非致死的心筋梗塞、初回非致死的脳卒中からなる複合イベントに設定、2次アウトカム評価指標は、複合イベントを構成する個々のイベントとした。

 治療中の収縮期血圧の平均値に基づいて患者を3群に分けた。130mmHg未満は厳格管理群(2255人、35.2%)、130mmHg以上140mmHg未満は通常管理群(1970人、30.8%)、140mmHg以上は管理不良群(2175人、34%)とした。

 治療に用いられた降圧薬の用量は、4剤すべてについて、厳格管理群で最も低く、管理不良群で最も高かった。また、使用した薬剤の種類が3通り以上だった患者の割合は、厳格管理群が約2分の1、管理不良群では3分の2超だった。

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