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BMJ誌から
管理不良患者の血糖値が強力な食事指導で低下

 最大投与可能量の経口糖尿病治療薬またはインスリンを投与しても血糖値が7.0%超の2型糖尿病患者に、食事内容に関する強力な介入を行うと、対照群に比べ血糖値が有意に低下することが、無作為化試験によって明らかになった。ニュージーランドOtago大学のKirsten J Coppell氏らが、BMJ誌2010年7月31日号に報告した。

 生活改善は糖尿病管理において非常に重要だが、健康的な生活を継続することは難しい。このため血糖管理の中心は薬物療法になり、管理不十分の患者の血糖値を下げるための新たな薬剤としてDPP-4阻害薬などが登場している。しかし、薬物療法による体重増加や低血糖イベントなどのリスクは相変わらず存在しており、注意が必要だ。

 そこで著者らは、最適化された薬物療法を受けているにもかかわらず血糖管理が不十分な患者を対象に、食生活への強力な介入の影響を調べる無作為化試験を計画。Otago大学で、2006年10月から2009年7月まで実施した。

 70歳未満、病歴9カ月超の2型糖尿病患者で、以下の条件を満たす104人を登録した:最大投与可能量の経口糖尿病治療薬とインスリンのいずれかまたは両方を用いた薬物療法と標準的な食事指導を受けていてもHbA1c値が7%を超えている、さらに、(1)過体重または肥満、(2)最適化された降圧治療で管理できない高血圧、(3)最適化された脂質降下治療で管理できない脂質異常症―のうちいずれか2つを有する。これらの患者を、無作為に介入群(52人)または対照群(52人)に割り付けた。

 介入群には、欧州糖尿病研究協会(EASD)糖尿病・栄養研究グループのエビデンスベースの勧告に基づいて、6カ月間、食生活に強力に介入した。

 具体的には、主要栄養素については、蛋白質が総熱量の10~20%、総脂肪は30%未満、飽和脂肪は10%未満(LDL-c高値なら8%未満)、多不飽和脂肪酸は10%未満で、炭水化物が45~60%を占める食事を理想とし、食物繊維を40g/日(うち半分は水溶性食物繊維)摂取できる食品選択を指示した。正しい食生活の継続を容易にするため、患者1人1人の日常的な食生活、食嗜好、食費の予算、社会文化的な要因などに基づいて、栄養士が実用的なメニューを作成した。

 加えて、割り付け後1カ月間に栄養士との個人セッションを2回、以降は月に1回実施した。また、グループでの教育セッションを当初2カ月間に1回実施した。そうした機会の合間には栄養士が患者に電話して継続を支援した。3カ月時に血糖値などを測定、得られたデータを利用して目標達成に向けた指導の調整を行った。

 対照群には、それまでと同様にかかりつけ医を定期的に受診するよう指示した。

 運動に関する指示(できれば毎日、1日30分以上中等度の強度の運動をする)は、最初に1回だけ、両群に対して同様に与えた。

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