高齢者には薬物有害反応(ADR)が現れやすい。ADRを回避するためには、ハイリスク患者を同定し、投与する薬剤のすべてについて注意を払う必要がある。イタリア・カトリック聖心大学のGraziano Onder氏らは、世界で始めてADRリスクレベルを予測するスコア採点表を開発、別の集団を用いてその有用性を確認した。論文は、Arch Intern Med誌2010年7月12日号に掲載された。
リスク予測は以下のように行う。65歳以上の入院患者で、以下の項目がイエスなら、1項目につき1ポイント、ノーなら0ポイント:「併存疾患が4つ以上ある」「心不全がある」「肝疾患がある」「使用している薬剤が5~7種類」「腎不全(GFRが60mL/分未満)がある」。さらに、「ADR歴あり」は2ポイント、「使用している薬剤が8種類以上」は4ポイント(この場合「使用している薬剤が5~7種類」の1ポイントはカウントしない)で、合計が4ポイント以上ならADRリスクは高いと判定する。スコアの最高は10ポイントとなる。
リスクスコア表の作成に用いたのは、93~97年にイタリア全土の大学病院と地域病院で入院患者のADRに関する情報を集めたItalian Group of Pharmacoepidemiology in the Elderly(GIFA)スタディで得られたデータだ。その中から、65歳以上の患者5936人(平均年齢78.0歳)の情報を抽出した。
GIFAは、ADRを「薬剤に由来するあらゆる、意図せぬ、望まぬ、有害な影響」と定義し、「明確なADR」「おそらくADR、ADRの可能性あり」「ADRかどうか不明確」に分類していた。今回著者らは、「明確なADR」と「おそらくADR」のみを選び、それらを発症するリスクの高い患者を同定するスコア表を作成した。
段階的ロジスティック回帰分析を行い、ADRに関係する変数を同定、それらを組み込んでリスクスコア採点表を作成した。
分析対象となった患者には平均6.3種類の薬剤が投与されていた。「明確なADR」と「おそらくADR」は計383人(6.5%)に見られた。うち、ADRが1回だけだった患者が345人(90.1%)、2回経験したのは30人(7.8%)、3回以上が8人(2.1%)だった。
ADRとして最も多く見られたのは、心血管疾患と不整脈で、97人(ADR全体の25.3%)、次に多かったのは消化器系のADRで69人(18%)報告されていた。
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