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医療制度改革のヒントを探る

第12回
医療の質と新技術・新薬導入の現状

2010/08/10
ルードヴィヒ・カンツラ(マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン)

専門医の認定制度
 専門医の認定制度について、諸外国と比較してみた。その結果、認定条件(試験と一定期間の研修)には大きな差はないが、研修プログラムの実施方法や認定基準の設定方法については、日本と諸外国との違いが目立った。

 例えば、専門医の認定基準の設定に関して、日本以外の国では第三者機関を設置している。これに対して日本では、実質上すべてが関連学会に任されている。これまでは日本では医師への信頼が厚く、あえて第三者機関を設ける必要がなかったという背景もあっただろう。しかし、専門医の認定基準に関して今後は議論を深めていく必要があると思われる。

 医療の質の向上において、医師の力量はきわめて大きな拠所となるものである。日本の医療全体の質の向上は、とりもなおさず各専門分野の質をより高めることで実現されると考える。

著者プロフィール

ルードヴィヒ・カンツラ(マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパン)●オックスフォード大学にて経済学修士・博士号取得。1995年より日本在住。2001年マッキンゼー入社。アジア諸国(主に日本)でのヘルスケア分野を主に担当。

連載の紹介

医療制度改革のヒントを探る
マッキンゼーが、日本国内の医療制度について2008年末に独自にまとめたレポート「医療制度改革の視点」の内容を順次紹介していきます。ぜひ一緒に考えてみてください。本連載の意義と目的については、こちらをご覧ください。

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