前立腺癌と診断されたが、その時点のPSA値が4.0ng/mL以下だった患者の半分以上が低リスク(高悪性度や遠隔転移のリスクが低い)であることが、米Dean and Betty Gallo前立腺癌研究センターのYu-Hsuan Shao氏らの検討で明らかになった。こうした患者の大多数は、PSAが4.0~20.0ng/mLの患者と同様に積極的な局所治療を受けていた。論文は、Arch Intern Med誌2010年7月26日号に報告された。
今や前立腺癌の9割は癌が局所に留まっている段階で発見される。早期発見、早期治療が可能になったおかげで、それらの患者の5年相対生存率はほぼ100%だ。しかし、早期発見、早期治療に力を入れたために、過剰診断、過剰治療も増加した可能性がある。
PSA値を指標とする前立腺癌スクリーニングについては議論があるにもかかわらず、スクリーニングを受けた患者に生検を勧めるPSAの閾値を下げるべきだと主張する研究者がいる。しかし現時点では、PSA検査後に生検によって発見された癌が進行の早いタイプか否かは見分けることができない。
著者らは、前立腺癌と診断されたがその時点のPSA値が4.0ng/mL以下だった患者のリスクレベルを調べ、実際に適用された治療が適切であったかどうかを評価しようと考えた。
国立癌研究所(NCI)によるSEER(Surveillance Epidemiology and End Results)システムに04~06年に登録されたデータを用いて、必要な情報がそろっていた12万3934人の新規診断前立腺癌患者の特性と適用された治療のパターンを調べた。
患者のリスクレベルは、American Joint Committee on Cancer(AJCC)病期分類による臨床病期、PSA値、グリーソンスコアに基づいて3段階に分けた。
低リスク(病期T2a以下、PSA10.0ng/mL以下で、グリーソンスコア6以下)、中リスク(病期T2b、PSA10.1~20.0 ng/mL、またはグリーソンスコア7)、高リスク(病期T2c以上、PSA20.0ng/mL超、またはグリーソンスコア8以上)。
適用された治療は、根治的治療(前立腺全摘除術:RP 、放射線治療:RT=外部照射または小線源療法)と保存的治療(RP、RT以外の治療)に分けた。
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