日経メディカルのロゴ画像

ドイツのアシスタント医のドタバタな日常

2010/08/20
堀籠晶子

 今回は、私がかつてアシスタント医(アシステンツ アールツト)として勤務していたドイツの市中病院(内科120床規模)での日常業務の様子を、大学病院との違いも交えつつ、紹介したいと思います。

大学病院の休暇願には同僚の署名必要
 アシスタント医は20~30人ほどの患者を受け持ちます。勤務時間は日勤で7:30~16:00、夜勤で14:00~翌日9:00(週末日勤は8:00~19:00、週末夜勤は18:30~翌日8:30)。しかし、実際は残業で1~2時間延長になります。子どもを持つ同僚は毎日12:00までのパートタイム制で働いていましたが、それでも定時で帰宅することは難しいようでした。ただし、一定の残業時間を休暇と換えることができるシステムになっていました(8時間残業がたまったら1日休暇を取ることができました)。

 それに比べて大学病院では、残業はあってないようなものです。ほとんど毎日残業になるので、それをスタッフ全員が休暇に換えていたら、勤務する人が誰もいなくなってしまいます。スタッフ同志で話し合って、交代で早退することはありますが、基本的にサービス残業です。

 市中病院での夜勤は月に4~6回、そのうち週末夜勤が2~3回でした。夜勤明けは、ありがたいことに休みとなります。しかし、受け持ちの病棟業務を終えて帰る必要があるので、結局は翌日のお昼ごろまで残ることが少なくありませんでした。

 大学病院の夜勤では、また様子が違っていました。夜勤のある日は24時間勤務です。朝から通常の病棟業務を行い、次の日の朝8:00に終業となります。夜勤明けには、よほどのことがない限り定時に帰宅することができます。規模が大きいので、内科の夜勤も6人体制です(救急外来、ICU病棟、そして病棟の救急対応の業務を2人ずつで担当します)。

 年間休暇は約6週間。そのほか、講習会に参加するなどして仕事に関する知識を深めるため、年に数日(3~5日)の休暇が認められています。

 市中病院では、アシスタント医2人まで、同時期に休暇を取ってよいという規則になっていました。一方、大学病院では、休暇期間中に代わりに仕事を担当してくれるスタッフがいるときのみ休暇が認められます。代わりとなるスタッフは、休暇を取る同僚の業務を責任を持って行う旨の署名をしなくてはなりません。この署名を添えて休暇願を提出するシステムです。

著者プロフィール

堀籠 晶子

ミュンスター大学病院(消化器内科・内分泌学教室)・勤務医

上智大学大学院卒業。ドイツ人医師の夫と共に渡独。2004年にミュンスター大学医学部を卒業後、北ドイツにある総合病院の内科にて研修。2010年より現職。休日は、ドイツに点在するお城を散策したり、長く寒い冬にはゆっくりサウナに入ったりして、リフレッシュしています。

この記事を読んでいる人におすすめ