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JAMA誌から
経口ビスホスホネートは食道癌、胃癌リスクを高めない

 米国をはじめとする先進国で経口ビスホスホネートの使用が急増している。先ごろ、この薬剤が食道癌リスクを高める可能性が示されたが、英Belfast大学のChris R. Cardwell氏らは、これを否定する研究結果を得た。論文は、JAMA誌2010年8月11日号に掲載された。

 経口ビスホスホネートの有害事象の1つに重症の食道炎がある。この食道炎の治癒後も引き続き組織に異常が認められるとの報告があったため、経口ビスホスホネート使用者の食道癌リスク上昇の危険性は深刻に受け止められた。

 この関係を明らかにするためには質の高い大規模研究が必要と考えた著者らは、英国のGeneral Practice Research Databaseに登録された情報を利用して、ビスホスホネートの使用と食道癌、胃癌の関係を調べることにした。

 96年1月から06年12月にビスホスホネートの処方を受けていた40歳以上のすべての患者を選出。それぞれの患者について、性別、年齢、受診する一般開業医などがマッチするコントロールを1人ずつ選んだ。コントロールは、ビスホスホネート使用の有無を問わずに選出した。ビスホスホネート非使用者に限定すると、癌関連骨粗鬆症または骨転移などの治療を目的としてビスホスホネートを投与されている患者が除外され、コントロールの癌罹患率が下がる可能性があるからだ。

 主要アウトカム評価指標は食道癌と胃癌の罹患とし、交絡因子候補(BMI、飲酒歴、喫煙歴、ホルモン補充療法歴、非ステロイド性抗炎症薬〔NSAIDs〕使用歴、バレット食道歴、胃食道逆流症歴、H2受容体拮抗薬使用歴、プロトンポンプ阻害薬使用歴)で調整し、Cox比例ハザードモデルを用いてハザード比を求めた。

 追跡期間の平均はビスホスホネート群が4.5年、対照群が4.4年。追跡期間が6カ月未満の患者を除外し、両群ともに4万1826人(81%が女性で平均年齢は70.0歳)を分析対象とした。対照群では3705人(9%)がビスホスホネートを使用していた。

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