日経メディカルのロゴ画像

「川のふるさと」

2010/08/30

 猛暑の夏は、特に「水」のありがたさが身にしみる。
 信州の佐久でも連日30度を超え、高齢者の熱中症対策は他人事では
 なくなってきた。
 小まめに水分を摂るのが大切なのは言うまでもない。

 海のない信州は川への愛着が深い。
 天竜川、木曽川、信濃川の「水源地」があり、それぞれが地下水脈でつながって、
 湧き水や小さな泉が信州全域に分布している。
 日本の「川のふるさと」といえようか。

 その川の多くがコンクリートで固められ、生命を育む管としての柔軟さと
 しなやかさを失った。
 人体に例えれば動脈硬化のようなものだろうか。
 一人の人間の血管の総延長は、毛細血管まで含めると
 約9万キロにもなるという。地球二周分だ。

 河川を地球の血管だとすると、今至るところで巨大ダム建設による
 「血栓」が生じている。
 経済を発展させるための「電源開発」や「治水開発」で
 上流と下流、右岸と左岸、国家間の水争いが起き始めている。
 最も懸念されているのが中国の大規模ダム建設だ。

 朝日新聞(8月15日付)は次のように伝えている。

著者プロフィール

色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。

連載の紹介

色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。

この記事を読んでいる人におすすめ