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JAMA誌から
管理不十分な成人ADHDに認知行動療法が有効

 米国では成人の約4.4%が注意欠損/多動性障害ADHD)だといわれている。薬物療法を受けるのは患者の一部だが、治療薬だけでは症状が抑えられない患者が少なからず存在するため、より有効な管理法が求められている。米Massachusetts総合病院のSteven A. Safren氏らは、そうした患者に3カ月間、認知行動療法を併用すると、症状の軽減が見られることを明らかにした。論文はJAMA誌2010年8月25日号に掲載された。

 成人のADHDに対する認知行動療法の有効性について調べた無作為化試験は、これまでに3件行われており、有望な結果を得ていたが、いずれも小規模だった。著者らは、薬物療法を受けているが症状が認められる成人ADHD患者を対象に、認知行動療法の有効性を調べる無作為化比較試験を実施した。

 米国の1病院で、04年11月から08年6月までに86人の患者を登録。無作為に認知行動療法(著者らが先に作成したマニュアルに基づいて実践)または教育的支援(ADHDと支持精神療法に関する情報を提供)付きリラクゼーションに1:1で割り付けた。

 いずれのグループの患者も、臨床心理士による約50分のセッションを週1回、計12回受けた。追跡は09年7月まで行った。

 薬物療法については、専門医が処方する全ての薬剤の使用を認めた。

 主要アウトカム評価指標は、評価者が判定したADHDの症状とした。評価には、ADHD評価尺度(ADHD Rating Scale、18の症状について、スコア0の症状なしからスコア3の重症まで4段階で評価)と臨床全般印象尺度(Clinical Global Impression scale、7段階で評価。スコア1は症状なし、スコア7は極めて重症)を用いた。2次評価指標は、ADHD Current Symptoms Scaleを利用して患者自身が申告した症状に設定。評価は、ベースライン、治療終了時(割り付けから3カ月後)、割り付けから6カ月後、12カ月後に行った。分析はintention-to-treatで行った。

 患者の平均年齢は、認知行動療法群が42.3歳、リラクゼーション群が44歳だった。79人が治療を完了し、70人が追跡を完了した。

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