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BMJ誌から
前兆のある片頭痛は女性の出血性脳卒中リスクに関係
男女とも全死因死亡と心血管死亡のリスクが上昇との研究も

前兆を伴う片頭痛が好ましくない転帰に関係することを示す情報が蓄積されつつある。米Harvard大学医学部のTobias Kurth氏らは、女性を対象に分析し、前兆のある片頭痛を過去1年以内に経験した女性の出血性脳卒中リスクは片頭痛なしの女性の2.3倍になることを明らかにした。一方、アイスランドIceland大学のLarus S Gudmundsson氏らは、やはり前兆を伴う片頭痛歴がある男女では、全死因死亡と心血管死亡のリスクが高いことを示した。2本の論文は、BMJ誌2010年9月4日号に掲載された。

 先に、片頭痛、特に前兆(神経学的症状、多いのは閃輝暗点)を伴う片頭痛と、虚血性脳卒中や他の虚血性血管イベントの間に有意な関係があるとの報告があった。前兆のある片頭痛患者の虚血性脳卒中リスクは、頭痛のないグループの約2倍というデータも示されている。

 そこで、Tobias Kurth氏ら米国の研究者たちは、片頭痛と出血性脳卒中の関係を調べる前向きコホート研究を実施した。

 既に終了している無作為化試験Women's Health Studyに参加した米国の女性のうち、ベースラインで45歳以上かつ脳卒中その他の主要な疾患がなかった2万7860人について分析した。 

 片頭痛の有無、頭痛に先駆けた前兆の有無などについて聞き取り、血中脂質量を測定。その後の脳卒中の有無は医療記録を調べて判定した。主要アウトカム評価指標は、初回の出血性脳卒中とそのタイプとした。

 ベースラインで5130人(18%)が片頭痛歴を持っていた。3612人は過去1年以内に発作があり、うち1435人(40%)は前兆を経験していた。

 平均13.6年の追跡(37万7711人-年)で、85人が出血性脳卒中と診断された(44人が頭蓋内出血、36人がくも膜下出血、5人はタイプを判別できず)。85人のうち70人は片頭痛歴がなく、15人は片頭痛歴があった。片頭痛ありの15人のうち、9人が過去1年間に前兆を伴う片頭痛を経験しており、3人は過去1年間に前兆のない片頭痛を経験していた。

 年齢調整した1万人当たりの年間罹患率は、片頭痛歴なしの女性が2.3、片頭痛歴ありの女性では2.5だった。片頭痛歴ありのうち、1年以内に前兆を伴う片頭痛があった女性の年間罹患率は6.3、1年以内に前兆なしの片頭痛があった女性では0.8となった。したがって、片頭痛歴なしの女性と比べると、前兆を伴う片頭痛があった女性の出血性脳卒中は、1年間に1万人当たり4人多いと考えられた。

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