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超高層建築物の建築ラッシュに思う

2010/09/09
今高城治

台北101の展望室にて。高すぎてビル全体をファインダーに収めることはできませんでした。

 最近、3つの超高層ビルディングを訪れる機会がありました。

 一つは2010年9月現在、世界第2位の超高層建築物である、地上101階、地下5階、高さ509.2mの「台北101」です。この101という名前は階数に由来しています。台北へは私事ですが、2009年度の日本てんかん学会「UCB&Otsuka賞」を授かった関係で出向きました。

 1999年から6年の歳月をかけて建設され、2004年に竣工したこのタワーは、2008年まで、完成建築物としては世界一の高さを誇りました。外観は全面ガラス張りの近代的な様相ですが、その輪郭は伝統的な宝塔と竹をイメージしています。

 二つ目は、中国第4の都市、重慶で開催された国際神経科学会議に向かう途中、上海で訪れた「上海環球金融中心」です。2008年竣工で、492.3m、101階建と中国一の高さを誇示するこのビルは、別名、上海ヒルズとも称されています。

 残る一つは、エジプトで開催された国際小児神経学会に参加した際に立ち寄った、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの「ブルジュ・ハリファ」です。2010年に竣工され現在高さ世界一の座に君臨するこのビルは、地上168階建、高さ828mを誇ります。螺旋状の外装は砂漠の花であるヒメカリスのイメージで、内装はジョルジオ・アルマーニが手がけた“超高級”高層ビルディングです。

 天を摩するほどの高楼を意味する“摩天楼”と呼ぶにふさわしい、3つの超高層建築物を訪れ、僕はその圧倒的な高さを見上げて驚かずにはいられませんでした。

 現在、世界の超高層建築物のランキングはこの3つに続き、4位が香港の「環球貿易広場」(2010年竣工、484m、118階)、5位が再び中国の「広州テレビ・観光塔」(2010年竣工、454m、110階)となっています。

 10位までを国別にみると6カ国が名を連ねています。先のドバイと台北のほか、中国が4塔(3位、5位、8位、10位)、香港が2塔(4位、9位)あります。6位の「ペトロナスツインタワー」(1997年竣工)はマレーシア、7位の「ウィリス・タワー」(1974年竣工)はアメリカです。アジアにおける超高層ビルの建築ラッシュが実感できます。

 摩天楼とまではいきませんが、日本でも通天閣、横浜マリンタワー、神戸ポートタワー、札幌テレビ塔、名古屋タワー、東京タワーなどの「御当地タワー」ブームが世間を賑わせています。

 そして下町浅草では、武蔵という名称にちなみ高さ634m(ムサシ)になる予定の「東京スカイツリー」の建築が、月間30mのペースで進んでいます。2012年春に開業する予定です。

 しかし世界では、近い将来さらなる計画が待ち受けています。

著者プロフィール

今高城治(獨協医科大学小児科講師)●いまたか じょうじ氏。獨協医科大学医学部卒、慶應義塾大学文学部(哲学)卒、医学博士。小児神経学会評議員。現在、慶應義塾大学法学部(通信教育課程)に在籍し政治学を専攻中。

連載の紹介

今高城治の「医療と生命倫理のパンセ」
文明と医学の進歩は人類に本当の幸せをもたらすのか?超重症児医療に従事しながら、哲学・倫理学・法学を修める今高氏が、独自の世界観を背景に現代の倫理、哲学、思想、サイエンスに対する諸問題を論考していきます。

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