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OSCE試験監督の講習会で感じたこと
(2010.10.17訂正)

2010/10/14
津久井宏行

 10月3日の日曜日、OSCE評価者認定講習会に参加してきました。この講習会は平たく言うと、「客観的臨床能力評価試験」(Objective Structured Clinical ExaminationOSCE)の試験監督をするわれわれが、しっかりとした評価をできるようにするためのものです。

 以前の日本の医学生の臨床実習は見学が中心でしたが、ここ10年ほどで診療参加型への移行が進みました。しかしながら、医学生が診療に参加するためには、一定レベルの「基本的医学知識」と「臨床技能」を修得している必要があります。そこで、日本でも2005年から共用試験が導入されました。

 共用試験は、基本的医学知識を試す「知識・問題解決能力の客観的評価試験」(Computer Based Test;CBT)と臨床技能を測るOSCEに分かれます。目指すところは、医学生の段階で患者さんの身体所見を取れることを担保するためのシステムといえるでしょう。

 私が学生のころはOSCEといった試験はなく、身体所見の取り方は、教科書を読みながら、何となく取得していったような気がします。今、思えば、非常に乱暴な話です。私がOSCEを最初に体験したのは、アメリカへ臨床留学するために必要なECFMG certificationを取得するときでした。

 アメリカでも医師になる以前の臨床技能取得の必要性が叫ばれ、Clinical Skill AssessmentCSA)という試験の形でOSCEが導入されたのは2001年ごろからと記憶しています。私がCSAを受験した当時は、日本にはOSCEに関する情報や教科書がなく、どうやって試験勉強をしたらよいのか困ったものでした。結局、アメリカまで講習を受けに行き、家内にも患者さん役になってもらって、身体所見の取り方を何度も練習しました。

 アメリカで受けた講習はとても衝撃的でした。身体所見の取り方が非常に系統的で、OSCE対策で得たスキルは今でも生かされていると思います。実際の試験では、模擬患者は役者の卵がアルバイトで行っており、バイオレンス担当の“患者”の迫真の演技に恐れ入ったのも、今となってはいい思い出です。

著者プロフィール

津久井宏行(東京女子医大心臓血管外科准講師)●つくい ひろゆき氏。1995年新潟大卒。2003年渡米。06年ピッツバーグ大学メディカルセンターAdvanced Adult Cardiac Surgery Fellow。2009年より東京女子医大。

連載の紹介

津久井宏行の「アメリカ視点、日本マインド」
米国で6年間心臓外科医として働いた津久井氏。「米国の優れた点を取り入れ、日本の長所をもっと伸ばせば、日本の医療は絶対に良くなる」との信念の下、両国での臨床経験に基づいた現場発の医療改革案を発信します。

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