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女医だから? 看護師さんとの関係に悩んだ研修医時代

2010/11/08
引地悠

 新米医師としてあたふたと過ごしていた、研修医時代。1日1日が飛ぶように過ぎて行き、人生の中で一番充実した日々であり、同時に、一番ストレスフルな時期でもありました。

 ストレスの原因は、数え挙げればきりがありませんでした。自分の知識のなさや実技の下手さに落ち込んだり、指導医からの叱咤にショックを受けたり、患者さんとうまく信頼関係を築くことができず、苦い思いをしたり…。その中でも、際立って神経を使ったのが、「看護師さんとどううまく付き合うか」でした。

 病棟に行けば、その日の受け持ち看護師さんに、指示(その多くは指導医に言われたこと)を出したり、処置をお願いしたりするのですが、決まって、あまりいい顔をされませんでした。

 救急外来に行けば、はっきり言って邪魔者扱い。そこに立っているだけで、「センセ、そこ、邪魔。どいて!」と押しのけられることはざらでした。

 どうして看護師さんから邪険に扱われるのか。当時、その理由が、私にはちっともわかりませんでした。「丁寧語で言ったし、そんなに大変な指示でもないのに、なんでつんけんされるんやろ。それに、そんなに邪魔なこともしてへんのに、居場所がないわ。やっぱり新参者の、しかも女医には、厳しい世界やな」と悶々と考えていました。

 今となっては、7年前の私に、ぽんぽんと肩を叩いて教えてあげたいです。「あのね、それは、あなたが空気を読んでいないからだよ」と。

著者プロフィール

引地 悠●ひきち はるか氏。2004年宮崎大卒後、洛和会音羽病院(京都市)にて初期研修2年、後期研修1年。07年4月中通総合病院(秋田市)総合内科で後期研修。09年1月に第1子を出産し、10年1月に復職。

連載の紹介

引地悠の「仕事と育児のベストバランスを求めて」
「結婚して子供を産んでも、臨床や研究の第一線から退きたくない」と考えていた引地氏。2009年1月に第1子を出産し、育児休業を1年間取得後、2010年1月に復職しました。新米ママ女医として盛りだくさんの日常をつづります。

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