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日本人の進行NSCLC患者でペメトレキセドとカルボプラチン併用療法の推奨用量を検討【肺癌学会2010】

2010/11/09
森下紀代美=医学ライター

化学療法未治療の進行非小細胞肺癌NSCLC)の日本人患者において、ペメトレキセド(PEM)は500mg/m2、カルボプラチン(CBDCA)はAUC 6が併用療法の推奨用量と考えられる結果が示された。本併用療法の忍容性は概ね良好で、奏効率や無増悪生存期間(PFS)、1年生存率において有効性も認められた。11月3日、4日と広島市で開催された第51回日本肺癌学会総会(JLCS2010)で、近畿大学医学部附属病院腫瘍内科の米阪仁雄氏が発表した。

 化学療法未治療の進行NSCLCの標準治療は、白金系抗癌剤ベースの併用療法である。ペメトレキセド(PEM)とカルボプラチン(CBDCA)の併用療法について海外で行われたフェーズ2試験では、忍容性は良好で、ファーストライン治療としての有効性は他の白金系抗癌剤ベースのレジメンと同等であることが示された。

 米阪氏らは、日本人で化学療法未治療の進行NSCLC患者を対象として、PEMとCBDCAの併用療法の安全性と忍容性を評価し、推奨用量を決定する用量漸増試験を実施した。

 治療は3週間を1サイクルとし、1日目にPEMとCBDCAを最大6コースまで投与し、安定(SD)以上の効果が得られている患者には、維持療法としてPEM 500mg/m2の単剤投与を進行(PD)または許容不能な有害事象が発現するまで継続した。投与期間中、葉酸とビタミンB12を併用投与した。投与量は、コホート1ではPEM 500mg/m2とCBDCA AUC5、コホート2ではPEM 500mg/m2とCBDCA AUC6とした。

 コホート1の最初の3人中、1人に用量制限毒性(DLT)のグレード4の血小板減少を認めた。さらにコホート1に3人を追加したところ、追加の3人についてはDLTを認めなかった。コホート2の最初の6人にDLTは認められず、推奨用量はPEM 500mg/m2、CBDCA AUC6となった。さらにコホート2に8人を追加し、コホート1と2の合計20人で検討した。

 コホート全体の年齢中央値は64.0歳、男性は13人だった。PS 0が4人、PS 1が16人だった。ステージIIIBは3人、IVは16人、術後再発が1人だった。組織学的には17人が腺癌だった。

 単位時間当たりの薬剤投与量(dose intensity)は、コホート1、2のいずれにおいても80%以上に保たれていた。有害事象による減量や投与の遅延を要した割合は、コホート1ではそれぞれ7%と23%、コホート2では15%と35%となり、コホート2でやや高かった。理由は血液毒性だった。

 血液毒性については、グレード3または4の好中球減少が最も多く15人(コホート1で5人、コホート2で10人)に発現した。グレード3または4のヘモグロビン減少が10人(コホート1で3人、コホート2で7人)、グレード3または4の血小板減少は9人(コホート1で3人、コホート2で6人)に発現した。非血液毒性では、グレード2から4の食欲不振が9人(コホート1で4人、コホート2で5人)と最も多かった。

 全体の有効性については、完全奏効(CR)はなかったが、部分奏効(PR)が12人で60%(95%信頼区間;36.1~80.9%)に認められた。

 PFSの中央値は7.6カ月(95%信頼区間;4.8~8.0カ月)、1年生存率の中央値は70.0%(95%信頼区間;49.9~90.1%)で、良好な結果が示された。

 現在、日本および海外で、PEMとCBDCAの併用療法に適切な分子標的治療を加えたフェーズ3試験が進行中である。

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