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NEJM誌から
小児てんかん患者は成人後も死亡率高く突然死が多い
「5年間発作なし」の未達成がハイリスク

 小児期発症のてんかん患者を前向きに40年追跡して、長期的な死亡率と死因を調べた研究で、小児てんかん患者は成人後もてんかん関連死亡、特に原因不明の突然死SUDEP)(注1)のリスクが高いことが明らかになった。死亡はてんかん発作が5年以上ない状態を経験していない患者に多かった。フィンランドTurku大学のMatti Sillanpaa氏らが、NEJM誌2010年12月23日号に報告した。

 この研究は、40年にもわたって患者を前向きに追跡した点、死亡例の70%に剖検が行われており、ほぼ全員の死因が明らかだった点から価値が高いといえるだろう。

 追跡対象になったのは、1964年に16歳未満で、Turku大学周辺在住だったてんかん患者(非誘発性てんかん発作を2回以上経験していた人)245人。150人が61~64年に新たにてんかんと診断されており、残りの95人はそれ以前の診断だが61~64年に1回以上てんかん発作を経験していた。

 64年以降、5年ごとの診察を02年まで継続した。患者の死亡は5年ごとにフィンランド死亡登録に照会して確認。国外に移住した5人以外を、03年1月1日まで、または死亡まで追跡した。追跡期間の中央値は40.0年になった。

 てんかんは、症候性てんかん(注2)(123人)と特発性てんかんまたは原因不明のてんかん(合わせて122人)に分類。

 追跡終了時または死亡時に、110人(45%)が薬物療法なしに5年間発作がない状態を維持していた。28人(11%)は薬物療法を受けながら5年間発作なしの状態を続けており、107人(44%)は5年以内に発作を経験していた。

 追跡中に60人(24%)が死亡、死亡率は1000人-年当たり6.9で、年齢と性別で調整した一般集団の予測死亡率の約3倍だった。60人のうち45人が症候性てんかん患者(死亡時の年齢の中央値は21歳)、15人が特発性または原因不明のてんかん患者(26歳)だった。

 死亡は、5年以上てんかん発作がない状態を維持できていなかった患者群に多く、107人中51人(48%)が死亡していた。この集団の死亡率は1000人-年当たり15.9だった。薬物療法を受けながら5年間発作なしに過ごしていた患者の死亡率は1000人-年当たり11.8、薬物療法なしに5年間発作がなかったグループでは1000人-年当たり1.5だった(P<0.001)。

 特発性または原因不明のてんかんに比べ、症候性てんかん患者に死亡が多かった。死亡率は、特発性または原因不明てんかんが1000人-年当たり3.2、症候性てんかんが1000人-年当たり11.1(P<0.001)。

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