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【新薬】ネパフェナク
ネバナック懸濁性点眼液:5製剤目のNSAIDs点眼薬

2011/01/29
北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部

 2010年12月10日、非ステロイド性抗炎症点眼薬のネパフェナク(商品名ネバナック懸濁性点眼液0.1%)が薬価収載と同時に発売された。本薬は、既に10月27日に製造承認を取得している。適応は「内眼部手術における術後炎症」で、用時によく振り混ぜた後、1回1滴、1日3回点眼する。点眼は手術前日より開始し、手術当日は術前3回、術後1回点眼する。

 眼科手術後に生じる炎症の治療には、従来から、ステロイド点眼液と非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)の点眼液が、併用もしくは単独で使用される。このうちNSAIDs点眼薬は、ステロイド点眼薬に比べると抗炎症作用は弱いものの、ステロイド緑内障や感染症の誘発などリスクが少ないことから、特に軽症から中等症の術後炎症にはステロイド点眼薬に優先して使用されることが多くなっている。

 今回、発売されたネバナック点眼液は、インドメタシン(商品名インドメロール)、プラノプロフェン(商品名ニフラン、プロラノン他)、ジクロフェナクナトリウム(商品名ジクロード他)、ブロムフェナクナトリウム水和物(商品名ブロナック)の各点眼薬に続いて、5番目となるNSAIDs点眼薬である。ただし、4番目に発売されたブロムフェナクナトリウムが発売されたのは10年ほど前であり、ネバナック点眼液は、国内で新発売される久々のNSAIDs点眼薬となる。

 ネパフェナクは、眼内の加水分解酵素によって活性代謝物のアンフェナクに変換されるプロドラックである。プロドラック化することで角膜透過性を高め、より速やかに眼内への移行を可能としている。非臨床試験では、優れた角膜透過性、強力なプロスタグランジン生合成阻害作用、血液房水関門損傷の抑制作用が確認されている。なお、活性代謝物であるアンフェナクは、既に経口製剤(商品名フェナゾックス)として、関節リウマチ、変形性膝関節症、腰痛症、肩関節周囲炎などの炎症治療に広く使用されている。ネパフェナクは、国内でのステロイド点眼液(フルオロメトロン点眼液)を対照とする第3相比較試験で、白内障手術後の嚢胞様黄斑浮腫(CME)発症を著しく低下させることが確認されている。

 今回、ネバナック点眼液が臨床使用可能となったことで、眼科領域の術後炎症の治療において、これまでに以上にNSAIDs点眼薬が使用されるようになることが予想される。使用に際しては、承認時までに副作用が2.1%に認められていることに注意したい。主な副作用は、眼の異物感、アレルギー性結膜炎(各0.4%)で、重大な副作用として角膜潰瘍、角膜穿孔が発現したとの報告がある。

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