日経メディカルのロゴ画像

医師養成数の増加、病床規制見直しの方針も示す
規制改革分科会が保険診療への無過失補償制度導入を提案
中間とりまとめ案を了承、3月にも行政刷新会議に報告

 内閣府・行政刷新会議の規制・制度改革に関する分科会(会長:内閣府副大臣の平野達男氏)は1月26日、病床規制の見直しや無過失補償制度の導入などを盛り込んだ中間とりまとめ案を了承した。

 中間とりまとめ案では、急性期の高度医療の集約化や医療資源の機能分化を進め、一般病床を削減する必要性に言及。休眠病床の既得権化を問題視する一方、患者に選ばれる医療機関の開設や増床には柔軟に対応すべきと指摘した。その上で、一般病床の病床規制については全面的に地域に権限を委譲し、病床過剰地域における増床許可時の厚生労働大臣の同意を不要とすることや、国際医療交流を推進する際には特例病床として医療機関の開設や病床申請を許可する考え方を示した。

医師不足に関しては、基礎医学研究者を含めた医師の絶対数の不足や、医師数の地域偏在などを踏まえ、医師養成数を増やす必要があるとの認識を示した。その上で、基礎医学研究者や地域医療の活性化に貢献する医師を育てる特色ある医学部や、医学部以外の卒業生や社会人を対象にしたメディカルスクールなどの新設も検討に値するとした。

 さらに、医療行為による有害事象は過失がなくとも誰にでも起き得るとして、現在医薬品副作用被害救済制度の対象となっていないワクチンや保険診療全般を対象とする無過失補償制度の導入も提案。同制度で補償を受けた場合は、損害賠償請求の訴訟権を制限する制度をセットで採用する考えも示した。

 中間取りまとめ案にはこのほか、慢性期療養の際の負担軽減を目的とした高額療養費制度の見直し、希少疾病用の医療機器が治験以外のデータなどを活用して短期間に承認を受けられるための諸規定の改定、一定の安全性を確保しながら一般用医薬品のインターネット販売を可能とするためのルール制定などを盛り込んだ。中間取りまとめ案は、関係各省の調整を経て、3月にも行政刷新会議に報告される見通しだ。

 同分科会は、経済成長につながる規制改革に着手するため、規制改革会議の後継組織として、2010年3月に内閣府の行政刷新会議の下に設けられた。同分科会の下には、グリーンイノベーション(環境・エネルギー分野)、ライフイノベーション(医療・介護分野)、農業・地域活性(農業分野)の3つのワーキンググループ(WG)を設置。同分科会は第1クールの議論を経て、3分野の規制改革項目について最終的な対処方針を取りまとめ(関連記事:2010.6.9「医療・介護分野で17項目の規制改革を要望」)、昨年6月に閣議決定された。

 昨年10月に再開された第2クールでは、これまで中期的検討項目として位置付けられていた規制改革項目なども含めて議論。ライフイノベーションWG(主査:内閣府大臣政務官の園田康博氏)は第2クールで、社会保障制度を抜本的に見直す時期に来ているとした上で、規制改革の方向性として、医療制度と介護制度についての一体的な議論や、雇用創出による地域の産業活性化の必要性などを掲げていた。

この記事を読んでいる人におすすめ