日経メディカルのロゴ画像

BMJ誌から
生後100日までの放射線検査は癌リスクを高める可能性

 近年、新生児や乳児に対するCTスキャンなどの放射線検査の適用が増えており、曝露の害に対する懸念が高まっている。米国立癌研究所(NCI)のPreetha Rajaraman氏らは、胎内および生後0~100日の放射線曝露または超音波曝露と小児癌の関係を調べるケースコントロール研究を行った。この結果、胎内および生後100日までの放射線曝露は小児癌リスクを高める傾向があり、リンパ腫リスクは有意に上昇する可能性を示した。論文は、BMJ誌2011年2月19日号に掲載された。

 ケースコントロール研究の対象になった小児癌患者は、United Kingdom Childhood Cancer Study(UKCCS)に登録された1976~96年生まれの患者の中から選んだ。条件を満たした2690人をケースとし、ケースと同じ居住地域の住民登録から年齢、性別がマッチする4858人を選んでコントロールとした。

 母親と小児の医療記録を参照して、放射線曝露歴、超音波曝露歴を明らかにした。

 主要アウトカム評価指標は、あらゆる小児癌と、白血病、リンパ腫、中枢神経系腫瘍のリスクに設定し、ロジスティック回帰モデルを用いてオッズ比を求めた。

 ケース2690人のうち1253人は白血病、231人はリンパ腫、482人は中枢神経系腫瘍だった。多くの小児癌は1歳から5歳の間に診断されていた。

 分析対象となった小児のうち、胎内での放射線曝露があったのは305人、延べ曝露回数は319回だった。生後100日までの診断目的の放射線曝露を受けていたのは170人で、延べ曝露回数は247回だった。胎内で複数回曝露があったのは曝露あり胎児の5%だった。一方、生後に放射線検査を2回以上受けていたのは曝露小児の24%と多く、4%の小児は3回以上曝露していた。

 胎内曝露の理由として最も多かったのは、骨盤計測(204件、全体の64%)、生後の被曝の理由として最も多かったのは胸部X線撮影(177件、72%)だった。

 妊婦に対する超音波検査は高率に行われており、6516人の胎児が計1万3723回胎内曝露していた。生後に超音波検査を受けた小児は107人(138件)と少なく、主な適応は脳の検査(実施回数全体の30%)などだった。

この記事を読んでいる人におすすめ