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BMJ誌から
クリニックの自動血圧計の血圧値は医師の測定より高精度

 受診した患者の本来の血圧値を知るためにはどのような測定法が好ましいのだろうか。そんな疑問に基づき、無作為試験を行ったカナダToronto大学のMartin G Myers氏らは、クリニック用の全自動血圧計を静かな個室に設置し、患者以外に誰もいない状態で測定した血圧は、医師が測定する値より24時間自由歩行下血圧測定の覚醒時血圧に近いことを明らかにした。論文は、BMJ誌2011年2月12日号に掲載された。

 受診のたびに医師が測定する血圧値が有用かどうかについては議論がある。著者らは、最新のクリニック用自動血圧計を用いて、患者が自己測定した血圧の精度と質を、医師による測定値と比較するための多施設クラスター無作為化試験を行った。

 カナダ東部の5都市のプライマリケア67施設で、88人の医師が患者登録を実施。収縮期高血圧(未治療の患者では160mmHg以上/95mmHg未満、治療中の患者では140mmHg以上/90mmHg未満)だが、重症の併存疾患はない患者を選んだ。

 患者ではなく個々の施設単位で、無作為に、医師による血圧測定(対照群)またはクリニック用自動血圧計を用いた測定(介入群)に割り付けた。自動血圧計はBpTru Medical Device社のプロ用腕帯式血圧計を使用。この全自動測定器は、初回測定の結果を基にクリニックのスタッフがカフの巻き方が適切かどうかを確認、実際の測定はその後に2分間隔で5回行われ、平均値が示されるようになっている。介入群となった施設には、自動血圧計を静かな個室に設置し、1回目の測定が終わったらスタッフは退出して患者を1人にするよう指示した。

 36施設(303人の患者、65歳、降圧治療なしは13人)を自動血圧計を用いた測定に、31施設(252人の患者、平均年齢65歳、降圧治療なしは12人)を医師による血圧測定に割り付けた。

 全員が割り付けから次の受診日までの間に24時間自由歩行下血圧測定を受けた。得られたデータを基に、覚醒していた時間の血圧値の平均を求めた。

 主要アウトカム評価指標は、自由歩行下覚醒時血圧測定値とそれぞれの測定法による血圧値の差に設定した。

 まず、個々の患者の医療記録から登録前に最後に医師が測定した血圧値を得て、介入群、対照群のそれぞれについて、登録後の血圧値と比較した。さらに、すべての測定値を自由歩行下血圧測定の覚醒時の値と比較した。

 登録前の医師による血圧測定値は、介入群が149.5/81.4mmHg、対照群は149.9/81.8mmHg、その後測定された自由歩行下覚醒時血圧は、それぞれ133.2/74.4mmHgと135.0/75.9mmHgだった。

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