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JAMA誌から
ビスホスホネート長期使用で非定型骨折リスクが上昇

 経口ビスホスホネート製剤を5年以上投与すると大腿骨の非定型骨折リスクが上昇すること、ただしその絶対リスクは小さいことが、カナダSt. Michael’s HospitalのLaura Y. Park-Wyllie氏らが行った過去最大規模の研究で明らかになった。論文は、JAMA誌2011年2月23日号に掲載された。

 経口ビスホスホネートは、骨粗鬆症性骨折予防に広く用いられているが、近年、その長期使用が大腿骨の非定型骨折を増やす可能性が懸念されるようになった。著者らは、大腿骨転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折のリスクと長期的なビスホスホネート使用の関係を調べるために、68歳以上の女性を対象に集団ベースのネステッドケースコントロール研究を実施した。

 オンタリオ州の65歳以上の人々の調剤情報を登録したデータベースと入院患者の医療情報を登録したデータベースを用いて、02年4月1日から08年3月31日の間にビスホスホネート製剤(アレンドロネート、リセドロネート、エチドロネート)の使用を開始した人々を同定、その中から、大腿骨転子下または大腿骨骨幹部の骨折により入院した患者(外傷性骨折、交通事故による骨折、転落による骨折を除く)を選んでケースとし、さらに患者1人当たり最高5人まで、年齢とデータベースに登録された時期がマッチするコントロールを選んだ。

 ビスホスホネートの使用は、5年以上を長期使用とし、3年以上5年未満を中期的な使用、100日から3年未満を短期的な使用とした。使用が100日未満と一過性だった人々を参照群とした。

 主要アウトカム評価指標は、転子下骨折または骨幹部骨折による入院とビスホスホネート使用期間に設定した。得られた知見の特異度を調べるために、典型的な骨粗鬆症性骨折である大腿骨頸部または大腿骨転子間の骨折とビスホスホネート使用との関係も調べた。

 68歳以上でビスホスホネートを使用し、今回の研究の対象として条件を満たした女性は7年間の追跡で20万5466人になった。それらのうち、ビスホスホネート使用開始以降に大腿骨転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折であることが確認された入院患者(=ケース)は716人(0.35%、411人が転子下骨折、305人が骨幹部骨折)だった。これらの患者とマッチするコントロールを3580人選んだ。ケース、コントロールともに年齢の中央値は83歳、追跡期間の中央値は4.0年だった。加えて、典型的な骨粗鬆症性骨折である大腿骨頸部骨折または大腿骨転子間骨折と診断された女性9723人も同定した。

 ビスホスホネートの使用が100日未満だった患者群と比較すると、5年以上使用を継続していた患者の大腿骨転子下骨折または大腿骨骨幹部骨折のリスクは有意に高かった。調整オッズ比は2.74(95%信頼区間1.25-6.02)。

 使用期間が3年以上5年未満だったグループでは、調整オッズ比は1.59(0.80-3.15)、100日から3年までの短期使用群では0.90(0.48-1.68)となり、いずれも非有意だった。

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