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大震災の現場から Vol.1
「今、欲しいのは水とガソリン。医療にこんなに水が必要だったとは…」
福島県伊達市の医師からの被災地報告

2011/03/14
保原中央クリニック家庭医療科・菅家智史

 東北地方太平洋沖地震の被災された地域でも、今日も奮闘する医師、医療者がいる。福島県伊達市にある保原中央クリニック家庭医療科の菅家智史氏もその一人。被災地の医療機関の様子を広く共有するために、菅家氏が自身のFacebookに投稿した被災地報告を、本人の許可を得て掲載する。

菅家智史氏のFacebookページ:http://www.facebook.com/satoshi.kanke


●2011年3月13日 13:29
現在は北福島医療センター(福島県伊達市)にいます。
当院は救急外来機能がかなり落ちており、軽症患者のみの受け入れ、新規入院は困難です。

町では、道路にひびが入っているところなどがあり、商店・スーパーなどはごく一部がオープンしていますが、何より足りないのはガソリンです。

ガソリンスタンドに車の大行列ができ、渋滞しています。軒並みガソリンスタンドは売り切れ閉鎖。移動したい人も燃料切れが最も心配です。
私は、軽自動車が6割残、ワンボックスが8割残でなんとか温存しています。かといって、みなさんにガソリンを送ってもらうのは不可能ですね・・・苦笑。

訪問サービス(介護・看護など)も、ガソリン切れで訪問できない事業所が出てきているようです。

当院は水も止まっており、ごくわずかの水を運んできてもらって有効利用している状態です。
電気はかろうじてきていて、こうしてメールを打っています。
何を助けてもらいたいのか、今私の頭では整理できませんが、ライフラインの復旧が一番の希望です。

みんながんばってくれています。
その場その場で、がんばってくれてるんですよ、みんな。
明日に向けて。
自分に言い聞かせます。明日に向けて。

●2011年3月13日 18:06
クリニック建物の損傷評価に随伴。柱はintactだが、外壁が破壊されており、すぐの倒壊の恐れはないが、落下物の恐れありと。
そこを改善する必要あり。

北福島医療センターの病棟は、通常4フロアを2フロアに減床、勤務表どおりの看護師・技師夜勤体制へ。当直医は通常単独のところを複数体制へ変更。
食事はなんとかおにぎりが配給されている。
まだ在庫の医薬品で、現在治療用の薬品はまかなわれている。

ライフラインの状況。福島県福島市・伊達市は摺上川ダムの本幹がやられており、復旧まで数日かかる見込み。
トイレはくんできた水で対応中。下水は流れていく(どこまでちゃんと流れてるかは不明)。
電気は継続して通電中。
私のDocomoの電波が悪く、メールが通じない状態になりやすい。

ガソリンスタンド渋滞は解消。マスコミで頻回にアピールされたからと思われる。
軒並みガソリンスタンドは閉鎖状態。私のガソリンは軽:まだ半分強。ワンボックス:大原総合病院横に置いてある。

今日は暖かかった。数日後に冷え込み、雪の予報あり。最大の余震への備えも必要。

現在、福島県浜通りから避難者が山を越えて福島県伊達市へ流入してきている模様。

原発から約60kmの当地では、特に警告・告知などはない。福島医大では被曝者対応が開始されていると大学内のDrよりメール連絡あり。
福島医大は重傷者のみ対応、明日から1週間は通常外来診療は行わない。

郡山市星総合病院は機能停止。入院患者を寿泉堂総合病院、町立三春病院、大田西ノ内病院へ。代替機能を町立三春病院へ一部移行。
福島市内の病院は、水が足りないものの何とか救急診療を継続しています。

今日把握してきた情報はこれくらい。

うちの訪問診療患者は、半数が電話連絡可能、とりあえず無事確認。あとは避難所にいるのか、どうなっているのか連絡つかず。

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