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Ann Intern Med誌から
鼻茸のある慢性鼻副鼻腔炎に2週間の経口ステロイドが有効

 鼻ポリープ(鼻茸)を有する慢性鼻副鼻腔炎CRS)の有病率は3~5%で、再発率は高い。英Dundee大学のSriram Valdyanathan氏らは、限られたCRS患者にしか適用されない経口ステロイド療法を、より広範なCRS患者に用いた場合の有効性と安全性を、局所ステロイド療法と比較する二重盲検の無作為化試験を行った。その結果、2週間のステロイド経口投与の鼻茸縮小と嗅覚改善効果は有意に高く、局所療法との差は数週間持続することを明らかにした。論文は、Ann Intern Med誌2011年2月28日号に報告された。

 現行の国際的なガイドラインは、ステロイド点鼻薬を中心とする治療で改善しなかった重症のCRS患者または再発した患者にのみ、経口ステロイドの適用を勧めている。著者らは、最初に短期間、経口ステロイド療法を行えば、症状の軽減を大きくでき、また効果も持続するのではないかと考えた。

 そこで著者らは、経口ステロイドを2週間投与し、その後26週にわたって、局所ステロイド薬を用いた維持療法を実施した場合の有効性と安全性を、局所ステロイド療法のみを適用した患者と比較する二重盲検の無作為化試験を計画した。

 スコットランドTaysideにある鼻科学専門クリニックで、05年1月から08年2月まで患者登録を実施。かかりつけ医から同クリニックに紹介された、中等度以上のサイズの鼻茸が両鼻腔に認められるCRSの成人患者60人を登録し、無作為に経口プレドニゾロン25mg/日(30人、平均年齢49歳、鼻副鼻腔炎歴11年)または偽薬(30人、52歳、17年)に割り付け、2週間投与した。その後26週間は両群共にフルチカゾンを局所投与した(8週間は点鼻薬[400μgを1日2回]、その後18週間は鼻腔用スプレー[200μgを1日2回])。

 主要評価指標は、鼻茸の大きさ、二次評価指標は、嗅覚減退スコア、QOL、副腎機能、骨代謝などに設定。鼻茸のサイズは内視鏡により計測し、グレード0~6に分類した。嗅覚障害の主観的な評価は100-mm VASスケールを用いて、客観的な評価はPocket Smell Test(Sensonics社製)により実施。QOLはJuniper mini Rhinoconjunctivitis QOL質問票(mini RQLR)を用いて評価した。

 試験を完了したのは51人だった。

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