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大震災の現場から Vol.5
石巻日赤に出動した、教え子からのメール
青森県八戸市・八戸市民病院救命救急センターからの被災地報告 その3

2011/03/17
八戸市民病院救命救急センター・今明秀

 3月11日の東日本巨大地震の発生時、八戸市民病院救命救急センターで勤務に当たっていた今明秀氏。同センターはドクターヘリやドクターカーが配備され、災害派遣医療チーム(DMAT)として稼働できる部署。地震発生以降、どのような状況に直面したのか、今氏の許可を得て掲載する。

 八戸市民病院救命救急センターのスタッフブログ「青森県ドクターヘリ スタッフブログ」http://doctorheli.blog97.fc2.com/


●東北関東大震災その3 八戸日赤救護班 2011年3月14日 23:42

八戸市立市民病院のとなりの八戸赤十字病院は、発災直後から石巻日赤に出動しました。
メンバーには、私の認定救急看護師教育課程の教え子も入っています。
彼女からのメールです。
被災地では医療関係、消防、自衛隊、ボランティア、警察、行政、電力会社、ガス会社…。ほかにも多くの人ががんばっています。
その中の赤十字病院の活動です。

・・・・・・

DMATや消防関連で活動している方お疲れ様です。
認定看護師の○○さんは昨日メールがあり、八戸市立市民病院救命救急センターで頑張っているようです。

3月12日に日赤救護班の第2班として石巻に出動してきました。
たどり着くまで、高速道路は緊急車両のみでスムーズでしたが、一般道は渋滞でした。
石巻は市役所が冠水し、機能しておらず、石巻日赤が本部となっていました。
石巻での活動内容は石巻赤十字病院内での傷病者の受け入れでした。
病院のライフラインは大丈夫でしたが、玄関でトリアージされた傷病者が色分けされた外来内へ入り治療を受けていました。
おもに低体温、低栄養の方が多かったです。高齢者、寝たきりの方も多く治療は終わったが、帰る手段、場所がなく院内にとどまっているため数百人の方がいました。みなさん泥だらけで、本当に野戦病院でした。

日中に自衛隊がトラックやバス等で避難所へ移送していましたが、寝たきりの方はほとんど残っていました。
来院された方に、「おにぎり1個でも食べるものはありませんか?」
「赤ちゃんに上げるミルクは?おむつは?」と聞かれても避難所に行ってもらうしかないですと答えるだけで精一杯でした。

救護班、DMATも10班以上活動していました。香川、愛知からも到着していました。
テレビやラジオでもやっていますが、 本当に物資が足りません。
昨日の朝の時点では石巻日赤病院が機能できるのは、今日までだと言っていました。
透析患者も1日160人まわしている。妊婦や乳児もたくさんいると本部では言っていました。

たくさんの病院にDMAT出動や救護班来ていると思います。でも物資が本当に足りません。
私たちはどこからかかき集めてきたような、ボロボロのラベルの点滴をしました。
被災者の家族には「死ぬ思いで逃げてきた」「転がっている車からガソリンを抜いてきて、やっとの思いで病院に来た」「赤ちゃんに白湯を飲ませている」
病院までたどり着けるだけでもいいかもしれません。
赤ちゃんや子供もずっと泣いています。

治療が終わっても「自衛隊の人が送ってくれるんですか」「帰る手段がない」 といって病院にいます。
避難所へバスでの移動、広域搬送もしているようですが、まだまだです。
携帯や固定電話も使用できません。
衛星電話もなかなかつながりません。
無線にあっても同じです。
病院では被災者に食べ物、水も配れません。
長期戦になります。

これから出動なさる方、個人装備はもちろんですが、被災地は何も足りているものはありません。
少しでも多く持っていってください。
これから出動するスタッフは本当に個人装備をしっかりと。
余力があれば地元のスタッフ分も調達していくべきです。
みなさんが無事に活動できることを、復興を祈っています。
それでは。

・・・・・・

被災地の八戸市から、さらに被害が大きな被災地への救援でした。

がんばれ石巻!
八戸もがんばるぞ!

【編集部からのお願い 被災地の状況をお知らせください】
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