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入院させたがる精神科医に抱く疑問

2018/09/04
宮岡 等(北里大学医学部精神科学主任教授)

 筆者は精神科の閉鎖病棟や隔離室を有する大学病院精神科に勤務しているため、精神科入院病床を持たない総合病院精神科医や精神科クリニックから入院治療の依頼を受けることが多い。しかし症状や家族の状況から、まだまだ外来治療が可能であると判断し、私自身が外来で治療を継続することが少なくない。「この状況であれば、もう少し外来治療が可能ではないか」と紹介医に連絡したこともあるが、「自分の外来では無理」と言われたり、「入院を頼んでいるんだ!」と怒ったような口調で言われたりもした。

 以前のように地域の医師同士が顔見知りであり、気軽に話せるという地域医療は、少なくとも筆者の周辺では薄れている。近隣に全く知らない、会ったこともない精神科医が開業していることが多いため、こういったすれ違いが起こる。

著者プロフィール

宮岡等(北里大学名誉教授、東北医科薬科大学臨床教授)●みやおかひとし氏。土佐高校卒、慶應義塾大学卒。東京都済生会中央病院精神科、昭和大学精神科を経て1999年5月から2021年3月まで北里大学医学部精神科学主任教授。2015年7月から2020年3月まで北里大学東病院院長(兼務)、2017年7月から2019年6月まで神奈川県医師会理事。

連載の紹介

宮岡等の「精神科医のひとりごと」
精神疾患患者の増加に伴い、精神科診療に関わる医療従事者は今後ますます増えていきます。精神科医はもちろん、精神科以外の医療従事者にも知っておいてほしい精神医療の現状や課題を、筆者が伝えます。

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