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厚生労働省「医師の働き方改革に関する検討会」 
時間外労働の上限規制、労災認定基準を考慮した案で議論

12月5日の検討会の様子

 厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」が12月5日に開催され、「医師の時間外労働規制についての基本的な考え方(案)」が事務局から提示。2024年4月から適用される罰則付き時間外労働の上限規制のあり方について議論が交わされた。今回示された案のポイントは、医療は24時間365日ニーズがあり、休日勤務の必要性が生じることから「休日労働時間」を含んだ上限時間を設定するほか、「脳・心臓疾患の労災認定基準(2~6月平均月80時間以内、単月100時間未満)」を考慮して上限時間を設定する考えを示した点。同時に、一般労働者の時間外労働の上限時間(月45時間・年間360時間以内、臨時の場合年間720時間以内)を超えることから、「健康確保措置」として連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保、代償休暇の付与を努力義務として課す考え方も示した(図1)。具体的な上限時間は今後議論される。

 さらに (1)地域医療提供体制確保、(2)医療の質の維持・向上――の観点から、それぞれ特例として上限時間を設定することも提案。特例を適用するに当たっては、対象医療機関を特定するほか、連続勤務時間制限と勤務間インターバルの確保、代償休暇の付与を義務付ける。なお、(1)は経過措置であるほか、(2)は一定の期間、集中的に技能向上のための診療を必要とする医師を想定したもので、本人の申し出に基づくとしている。

 厚労省が示したデータでは、病院の常勤勤務医の約4割が、年間960時間(脳・心臓疾患の労災認定基準における時間外労働の基準)を超えて働いており、その2倍の「年間1920時間」を超える医師が約1割、3倍の「年間2880時間」を超える医師が約2%存在している。

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